苫小牧における産業間連携を活用したカーボンリサイクル事業

デロイトトーマツコンサルティング(佐瀬真人社長、東京都千代田区)と石油資源開発(藤田昌宏社長、同)は3月26日、NEDOが公募した「コンビナート等における産業間連携を活用したカーボンリサイクル事業の実現可能性調査」において「苫小牧を拠点とする産業間連携調査」を受託し、事業を開始したと発表。

苫小牧は油ガス田、製油所、火力発電所、空港、製造業に加え、バイオマス産業や苫小牧CCS実証試験センターなどが立地しており、CO2の排出・回収・利用に関わる主要なバリューチェーンが集約されている国内唯一の港湾であり、今後、苫小牧市と苫小牧港を拠点に、都市全体のゼロエミッション化に資するカーボンリサイクル事業の産業間連携による組成を目指す。

経産省は2019年6月に策定した「カーボンリサイクル技術ロードマップ」において、CO2を資源として捉え、これを分離・回収し、素材や燃料へ再利用することにより、大気中へのCO2排出を抑制していく「カーボンリサイクル」を将来有望な技術の一つとして位置付け、研究開発及び社会実装を推進する方針を示した。このロードマップの中で、産業間連携は2030年をターゲットとした取り組みとして挙げられている。

カーボンリサイクル技術の普及には個々の技術や製造プロセスの効率化・コスト低減に加え、他産業との連携、特にコンビナートなどにおけるカーボンリサイクル技術の活用に向けた環境整備が重要。同事業はこうした観点のもと、既存のコンビナート等を調査対象として、各工場の特性を踏まえたエネルギーバランスやCO2の回収と再利用の産業間連携に向けた現状調査を行い、CO2排出量の大幅な削減につながるカーボンリサイクル事業の実現可能性調査を行う。また、苫小牧周辺に立地する工場などにおける電力・熱などのエネルギーバランスやCO2などのマテリアルバランスを分析し、産業間連携を活用したカーボンリサイクル事業の組成を検討していく。

両社では「苫小牧市役所、地域産業、ならびに関係団体の意見と政府の方針を踏まえながら、苫小牧における産業間連携を活用したカーボンリサイクル事業の実現による、持続可能な脱炭素社会への貢献を目指していく」としている。

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