北海道〜本州間で冷凍・冷蔵品の長距離輸送をメーンに展開する三豊(外山芙美子社長、小樽市)は、道内ではまだ珍しい車両の導入を積極的に進めている。
4月には道内で初めてスカニア社の大型冷凍・冷蔵トラックを1台導入。
外山裕樹取締役は、「以前から格好いいイメージを持っており、導入を検討するため東京のスカニアジャパンに直接電話をすると、道内唯一のディーラーである滝川自工を紹介された。同社に冷凍・冷蔵車が作れるか照会すると、この実績がなかったが、普段冷凍・冷蔵ボディーの製作を依頼している矢野特殊自動車に相談してみると、スカニアへのボディー製作の実績があった。道内では周りで誰も入れていなかったので、燃費や修繕・故障の際の対応など分からないことばかりだったが、とりあえず入れてみようと判断した」と振り返る。
車両は「グリフィンP360」を選択、契約してから納車までちょうど1年かかった。「実際に見るとやはり格好いい。現在でも道内でスカニアの冷凍・冷蔵車はまだこの1台しか導入されていない」という。
外山氏は「車両の価格は国産メーカーのものより割高だが、燃費はリッターあたり平均3.9㎞と既存車両よりも優れており、軽油価格が高騰する中で助かっている」と満足の様子。懸念している故障や修理への対応についても「今のところは定期的なオイル交換のみで問題はない。突発的なトラブルの発生や、その際の対応などに問題がないようなら、スカニアの冷凍・冷蔵車は非常にオススメと感じている。今後も導入を検討している」と話す。
また、「車両の希少性」も武器となり、求人媒体にスカニアの写真を掲載すると「短期間でトラック好きの人材の応募が多くある」という副次的な効果も感じている。
同社ではこのほか、グループ会社の結輝物流(外山裕樹社長、同)を通じて、近年10mシャーシの導入を進め、北海道と本州間での無人航送を行っている。道内で無人航送を行う場合、12~13mのサイズシャーシを活用し、「一度の運行で多く運ぶ」という考えが一般的だが、同社ではあえて「積載量の少ない小さいサイズ」のシャーシを増やしている。
これは、北海道の移出・移入量のバランスを考慮しての施策。北海道と本州間の幹線輸送では、時期や品目にもよるが、全体として「北海道からの移出が少なく、本州からの移入が多い」。「空車で出ていき、実車で戻ってくる」というケースも珍しくなく、構造的に「片荷」傾向となっている。
同社では移出の際、一定程度、空や積載の少ないシャーシで出ることを予め織り込んで、「本州からデイリーで運んでくる荷物に必要なサイズを確保」した上で、あえて小さめのシャーシを選択した。これにより、空荷や積載が少ない移出の際、フェリーのコストを削減している。
外山氏は「一般的な12mシャーシを比べると、積載量は落ちるが、往復で4m短くなるので、通年で見るとコスト削減効果が大きい。また、車両が小さい分走行時の燃費も良くなり、無駄な運行を減らしているので、物流効率化に繋がっている。無人航送なので、ドライバーの労働時間削減にもつながる」と話している。