北海道経済連合会は4月25日、「2021物流プロジェクトチーム報告書~北海道および全国各地の食産業を支える物流の課題整理と対策の検討」を公表した。
2021年7月に「2021物流プロジェクトチーム」(座長・相浦宣徳北海商科大学大学院教授)を立ち上げ、ドライバー不足や2024年問題、貨物鉄道輸送における青函共用走行区間・並行在来線の問題などが及ぼす影響と対策を検討。
近い将来の北海道物流への強い危機感と北海道経済縮小のシナリオを示し、とりわけ「貨物鉄道の在り方が北海道の浮沈を決める分岐点」と強調、「現在の輸送ネットワークを保持することが北海道にとって望ましい物流の姿」であるとしている。
同報告書では、トラックドライバー不足や2024年問題により、「トラックの輸送力は確実に低下」するのみならず、「フェリー・RORO船」と「貨物鉄道」でも集配先までの輸送に強く影響すると分析し、「北海道における全ての輸送力を低減させる」と指摘。
「北海道・発着貨物量の減少」のほか、小規模な集出荷団体や物流にとって恵まれていない地域が切り捨てられる「荷物・地域の選別」につながり、「北海道経済の縮小」をもたらすという「負のスパイラル」のシナリオを示した。
あわせて、北海道と本州を結ぶ全輸送力が低下した場合を想定し、影響分析を行った結果、「全国的には北海道の3倍以上の影響額が発生する」と推計した。
「第二青函トンネル」や「在来線・貨物鉄道輸送のニーズにも応えることができる貨物新幹線」の供用など、抜本的な解決方法が形成されるまでは、「可能な限り、現在の輸送ネットワークを保持することが北海道にとって望ましい物流の姿」としている。
また、これからの輸送ネットワークの在り方として、「貨物鉄道輸送、フェリー・RORO船を介したトラック・シャーシ輸送」や「貨物鉄道輸送ネットワークの維持」が重要であると提示。
このほか、「中継輸送や共同輸送」「積卸し拠点などでの作業負荷の軽減や待ち時間の短縮」「一貫パレチゼーション」「発注リードタイムや輸送期間の延長、荷出・荷受け受体制の見直し」「無人運航船や自動運転、新幹線による貨物輸送」といった施策を提案した。
これら提言の多くは「事業者、事業体、業界、自治体が単独で実現することは困難」であり、「然るべき場での議論、それに基くオール北海道としての団結が必要」と強調。「道内外の物流業界、産業界、経済界、学界などの連携のもと、北海道として望む物流の在り方を明確に打ち出す必要がある。時間はほとんど残されていない」と結んでいる。