帝国データバンク札幌支店は8月9日、「原油・LNG価格高騰に関する道内企業の意識調査」の結果を発表した。TDB 景気動向調査2022年6月調査とともに実施したもの。552社から回答を得た。
原油・LNG価格高騰の経営に対する影響として「直接的にマイナス影響がある」と答えた企業は全体で56.5%。また、直接間接を問わずマイナス 影響が出ている企業は 88.2%を占めた。
「直接的にマイナス影響がある」と答えた企業を業界別にみると、運輸・倉 庫が80.0%と最も高く、製造が71.9%でこれに続いた。以下、建設(64.8%)、農・林・水産(55.6%)、小売(46.7%)が続いた。
原油・LNG価格高騰に対して現在実施している対策は、「節電・節約」が55.1%でトップ。 次いで「エネルギーコスト上昇分を販売価格へ転嫁」が22.1%で続いた。今後も価格水準が高止まりした場合の対策は、「エネルギーコスト上昇分を販売価格へ転嫁」が30.3%と最も 高くなった。
「特に対応しない」(21.4%)と回答した企業も一定数存在し、特に小規模企業では 25.4%を 占め、6 月時点では 4 社に 1 社で対応策をとっていなかった。
業界別では、「節電・節約」の割合が高かったのが農・林・水産(77.8%)、運輸・倉庫 (66.7%)。
「エネルギーコスト上昇分を販売価格へ転嫁」の割合が高かったのが、製造(34.4%)、運輸・倉庫(33.3%)となり、直接的にマイナスの影響が大きい業界ほど対応策 を講じていた。
今後、原油価格や LNG 価格の高騰が継続した際に実施する対策について尋ねると、「エネルギ ーコスト上昇分を販売価格へ転嫁」(30.3%)が最多。次いで「節電・節約」が 29.9%、「既存設備を省エネ設備へ切り替え」が 12.0%で続いた。また、企業の 1.3%が「廃業の検討」を考 えていた。
現在の高水準な価格がどの程度続くと想定しているかでは、「1 年程度」が原油で30.6%、LNGで29.2%ともに最多。これらを含め1年以上続くと考える企業はいずれも6割を超えており、平均では原油が18.0カ月、LNGが18.7カ月となった。
同支店では、「原油価格・LNG 価格の高騰が、幅広い業界の企業にマイナスの影響を与えている。特に運輸業 や製造業者など、燃料費のコスト負担が従前から大きい業界ほど影響も大きく、企業業績を押 し下げている可能性がある。節電・節約によって急場をしのぐ一方で、今後は原油・LNG 価格高 騰の影響を販売価格に転嫁する動きが強まるとみられ、直接的な影響の少ない業界にも問題は 広がる可能性が高い。企業の自助努力が限界を迎える前に、政府には影響の大き い業界・企業への支援策や実効性のあるエネルギー政策が求められている」としている。