鹿島建設(押味至一社長、東京都港区)は10月30日、鹿追町(喜井知己町長)における地域スマートソサエティ構想に着手したと発表。同町と連携して進めるもので、10月1日に連携協定書の調印式をリモートで開催した。同社が地方における自治体と連携した取組みは今回が初めて。
同構想は、バイオマス資源(家畜糞尿)から生産されるバイオガスによるエネルギー活用を起点に、①地域エネルギー会社や自営線ネットワーク等を利用した地域エネルギーの有効活用、②エネルギー・IoTを活用した公共施設経営、③地域の防災・減災やBCP対策、④公共交通や町民コミュニケーションの向上を図る地域のスマート化、⑤地域産業振興ーの5つを検討テーマとして設定し、公民連携で地域の活性化、住民サービスの向上を目指すもの。
同社は、エア・ウォーター、日鉄パイプライン&エンジニアリング、日本エアープロダクツの共同事業者3社と、環境省実証事業である「しかおい水素ファーム」において、2017年から同町の環境保全センターで生産されるバイオガスを活用し、水素燃料の製造から運搬、貯蔵、供給のサプライチェーンを目指した取組みを行っている。
この実証事業では、家畜ふん尿のメタン発酵施設である鹿追町環境保全センターからバイオガスの供給を受け、センター敷地内に水素の製造・供給施設である「しかおい水素ファーム」を設置し、水素ガスを製造。製造した水素は、純水素型燃料電池用のエネルギーとして環境保全センター内で利用されるほか、貯蓄用カードルで畜産農家や近隣施設に水素を運搬し、電気と温水を供給。また、環境保全センター内に北海道初となる定置型水素ステーションを設置し、燃料電池自動車、燃料電池フォークリフトの燃料として利用されている。
地域の再生可能エネルギーや未利用エネルギーを活用し、水素を精製、製造、貯蔵、輸送、供給、利用するという一貫した水素エネルギーのサプライチェーンを実証、地産地消の水素エネルギー社会の実現に向けて積極的に展開している。