北海道胆振東部地震 発災後1週間 道内物流事業者の声

平成30年北海道胆振東部地震の発災から1週間が経過し、道内の物流事業者は徐々に日常を取り戻しつつある。当時起きた様々な話を事業者から聞くことができた。
 
被害の大きかった一部の地域を除いて、物流事業者からは地震の揺れそのものでの苦労話それほどは多くは聞かない。
地震の揺れで、自動倉庫のスタッカークレーンのレールに歪みが発生していないか懸念した事業者は、「揺れがレールと平行の向きだったため、特に問題はなかった」と胸を撫で下ろしていた。
別の事業者は「総務部長が地震が発生した30分後に本社に来て、すぐに運行や被害の状況を確認していた。私も早朝に『行く』と言うが、『指揮命令のラインが分散する可能性があるため、来なくていい』と言われ、任せることにした」と話す。同社では倉庫の壁などに損傷が発生したほか、6〜9日までの4日間、ほぼ営業ができなかったため、「9月は大幅な赤字になってしまう」との見通しだ。

道内全域の停電により、「信号が点かないので危険」「積み下ろし拠点が稼働していない」「荷主などと十分に連絡がとれない」「事務所のパソコンなどが使えない」といった状況に陥ったため、早々に自主的な休業を決めた運送会社は少なくなかった。
そのような中、道内で幹線輸送を行った事業者は「信号が停まっていた分、いつもより早く着いた」と話す。
信号が点かない中で運行して交通事故が発生した場合、保険がおりるのか確認した別の事業者は「保険会社の審査部門は『地震・噴火・津波では保険は出ないが、発災後の停電に起因する事故ならおりる』という判断。これで『おりない』なら、停電時は運行してはダメというガイドラインを業界で出すことになったのでは」と話す。

停電により、積み荷が降ろせるかわからない状況で運行し、結局降ろせないためそのまま持ち帰ったというケースも多かった。長く積み置きができない冷蔵・冷凍品を扱っていた事業者は、「商品が降ろせない・燃料も限られる・保冷がいつまでできるかわからない」といった深刻な状況だったが、それを実感できない本州の荷主は「『とにかく頑張ってくれ』としか言わなかった」と振り返る。

一方で、「降ろし先の担当者を呼び出し、無理やり降ろしてきた」という事業者もいたほか、「状態が微妙な冷蔵品があったが、渡し時の検品で何とかOKが出たので助かった」という声もあった。

ある運送会社の幹部は「台風21号の影響で自宅が停電となり、9月6日の午前2時頃に復旧したと思ったら、約1時間後に地震が発生してまた停電となった」と踏んだり蹴ったりの状況だったと話す。
事業者同士で助け合う姿もあり、SNSで「インタンクが動き出したので給油ができる」と同業者に発信する運送会社もあった。

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