北海道海事団体協議会(大田秀樹会長)は12月4日、ポールスター札幌で「海事セミナー」を開催した。北ト協、札ト協が協力、北海道運輸局が後援した。今回で21回目で、コロナ禍の影響で4年ぶりの開催となった。
大田会長は「2024問題は物流業界にとって大きな問題で対策は待ったなし。本セミナーを機に、関係省庁と連携し、問題解決につなげていただければ」と述べ、北海道運輸局の井上健二局長は「北海道と本州間の物流の約92%は海上輸送によるもので、北海道の地域経済を支える重要な役割を担っていただいている。今後トラックドライバーの時間外労働規制により、物流の停滞や、必要な物資が運べなくなる懸念があるが、物流革新緊急パッケージでは、モーダルシフトの推進を掲げており、今後、内航海運の役割がより重要になってくる」と挨拶した。
北海道運輸局の川路勉次長が「海事行政の現状と北海道運輸局の取り組み」と題して講演し、「北海道の中・長距離フェリーの積載率は、東東北や北関東との航路では80~90%と高いが、北陸との間では70%前後、阪神との間では55~65%、RORO船では東東北との航路では60~70%とまだ空きがある。また、10月から室蘭と青森を結ぶ航路の運航がスタートしたが、こちらもまだ積載できる状況なので、活用してほしい」と述べた。この他、海事教育の一環として、道内各港で港湾施設やフェリーの見学会などを行なっていると紹介した。
東京海上日動火災保険の林敬佑海上業務部マネージャーが「運送業界の課題と2024 年問題への対応」をテーマに講演、運送業界を取り巻く環境を説明し、道内間輸送で「札幌〜釧路」間の約330㎞のトラック輸送を、「苫小牧港〜釧路港」間の海上輸送に振り替え、トラックの輸送距離を80㎞へと短縮し、ドライバーの労働時間短縮に取り組んでいる事例を紹介。「かつてトラック輸送からのモーダルシフトの距離的な判断基準が500 ㎞とされていたことからすると、大きな変革が起きている」とし、道内での海上モーダルシフト拡大の可能性を示した。