シノプス コープさっぽろなどで「流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業」実験を実施

シノプス(南谷洋志社長、大阪市北区)は2月14日、経産省の「令和5年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(販促商品等のリードタイムの延長、物流レジリエンスの向上に向けた小売業の在庫管理・発注業務のDX)」の実証実験において、「sinops-CLOUD」の需要予測を活用することで、店舗配送時のトラック年間約300台削減、小売業の販促時の追加発注を79%削減といった効果が確認できたと発表した。

同社では、2023年10月より、需要予測を活用した物流改善に向けた実証実験を実施。物流を圧迫する一因と考えられる「新商品・販促商品に係る発注適正化(リードタイムの延長等)」に加え、「店舗配送量の曜日平準化」、「気象予報情報の活用によるレジリエンス向上」をテーマに、生活協同組合コープさっぽろ(大見英明理事長、札幌市西区)とウオロク(本多伸一社長、新潟市中央区)の店舗と物流センターなどで検証を実施した。このうち、「新商品・販促商品に係る発注適正化(リードタイムの延長等)」と「店舗配送量の曜日平準化」の2つの実証実験は、コープさっぽろの店舗、および物流センターにて実施した。

新商品と販促商品の小売りから仕入先への発注確定日を前倒しする「納品リードタイム長期化」の実証実験では、従来3~7日程度だった納品リードタイムを2週間程度まで長期化することで、卸売業の販促期間中の追加発注の対応に向けた在庫調整業務の負荷軽減、物流センターの過剰在庫や欠品の防止、物流の効率化といった効果の検証を行なった。
需要予測データを活用し、従来の追加発注分も考慮した上で初回の発注量を2週間程度まで延長した場合、販促期間中の発注回数や在庫数にどのような影響を及ぼすかシミュレーションを実施。シミュレーションと特定の販促期間に店舗での実績を比較した結果、店舗での実績と同程度の在庫日数を保ちながら、対象の販促商品61SKUの追加発注を79%削減、また過剰な追加発注を抑制したことで対象商品のセンター在庫を42.9%削減可能、という効果が推計された。
また、小売側でも、本部で各店舗に対して掲示している発注参考値の準備業務の所要時間が大幅に削減されるなどの効果が推計された。
同実証実験は現在も実施中で、今後は実際に店舗で需要予測システムの提示する発注値を採用した場合の実績値も検証する予定。

コープさっぽろの店舗、および物流センターでは、仕入先から小売への配送量を曜日に限らず一定にコントロールする「配送量の曜日平準化」の実証実験も行なった。同実験では、店舗への配送量やトラック積載効率を考慮した需要予測を実施。需要予測に基づき店舗の発注量を調整することで、曜日による配送量のバラつきを平準化した。納品に関わる物流・店舗作業の負荷分散しつつ、トラック積載率を向上させることで配送トラック台数削減などの効果を検証した。
従来、コープさっぽろの店舗では、来客が増える週末や販促開始前に納品量が増加する傾向にあったが、今回の実証実験では、需要予測データを活用し、納品が特定の曜日に偏らないよう店舗発注をコントロールした。この結果、配送量の平準化を実施しても、店舗の欠品率は増加せず、通常通り運営出来ることが分かった。またその際、店舗の陳列業務の工数も削減されるなどの効果も確認された。また平準化する際に、1度に配送するアイテム数を削減することで、トラックの計画的手配が可能になり、1地区/1月あたりの配送トラックを64台から39台、年間300台/地区の配送トラックが削減できる見込みとなった。この実証実験も現在実施中で、他店舗・他カテゴリーでも納品量を平準化した場合の実績値を検証してく予定。

ウオロクの店舗、および物流センターでは、「気象予報情報の活用によるレジリエンス向上の実証を行なった。

シノプスでは「現在、机上検証中である検証内容を、今後は実店舗、センターにて実地検証、効果測定を行う」としている。また、「これら実証実験の途中経過はトーマツより、2月20日に経産省がなどが開催する第2回北海道地域フィジカルインターネット懇談会内で発表し、最終報告は4月以降に経産省のHP内にて掲載される予定」としている。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする