運送事業経営塾「荷主との交渉」の状況など議論

運送事業経営塾(工藤英人塾生代表、工藤商事)は2月19日、札幌市民交流プラザで今年度最後の勉強会を開催した。「荷主との交渉」や「生産性向上の取り組み」の現状や課題について各社が発表し、それに基づき、活発なディスカッションを実施、効果的な取り組みや課題解決の方法などを共有した。

荷主との交渉については、「期限を決めて運賃改定の申し出を行い、回答を先延ばしにする顧客の仕事は仕方なく断った」といったケースや、「運賃の見直しは果たせなかったが、受託する仕事のボリュームを増やしてもらった」とする事業者、また、「請け負っている業務を細かく分解し、料金として収受できていない『見えない作業の洗い出しとこの分の料金収受』を進めている」という事例が報告された。

反面、「長距離便で運賃アップや労働環境の改善について交渉をしても、『検討する』と言いつつ、未だにゼロ回答だ」という元請けとの交渉事例が報告され、「この仕事を断っていいか決断ができない。トラックGメンに相談しても、状況が変わらず、Gメンの動きも見えてこない。ドライバーの待遇を改善したいが思うように進まない」と悩みを吐露する事業者もいた。
これらの議論が行われている最中、従前より交渉を続けてきた荷主から「25%の運賃アップ」の連絡を受けた事業者もいた。

生産性向上のテーマでは、倉庫の人員でトラックへの荷役を行うことで、ドライバーの手待ち時間を減らす「運送と荷役の分離」や、「近隣の事業者との共同点呼の実施」などの取り組み事例と効果などが発表された。
物流の2024年問題がクローズアップされる中、「トラックドライバーの労働時間短縮のため、これまでドライバーが行なっていた荷物の降ろし先での荷役を荷主が行うようになった」という大手企業の報道を目にした荷主から、「うちの現場ではどうなっているか」との連絡があり、荷役を一部荷主に任せることになったとの事例も報告された。

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