「北海道物流WEEK」第1便初日「共同輸送・中継輸送を考えるシンポジウム」

北海道開発局と北海道運輸局は2月19日、アスティ45で「共同輸送・中継輸送を考えるシンポジウム」を開催。「北海道物流WEEK」の第1便である「北海道の物流を地域の将来(あす)を考える2日間」の初日として行われた。日本物流学会、北海道商工会議所連合会、北海道通運業連合会、北ト協が協力した。
北海道での「共同輸送・中継輸送」に関する最新の取り組み事例や、今後の運用に向けた課題や論点などが議論・報告され、「共同輸送・中継輸送のための北海道独自の仕組み」の必要性が確認された。

「北海道における共同輸送・中継輸送の実装に向けて~場所と仕組み」と題したパネルディスカッションが行われ、北見工業大学地域未来デザイン工学科の髙橋清教授、北海商科大学商学部商学科の相浦宣徳教授、名寄商工会議所の藤田健慈会頭、ヤマト運輸の菊池誠北海道統括ゼネラルマネージャー、北海道開発局旭川開発建設部の岩下幸司部長が登壇。
北見工業大学の高橋教授は「北海道は広域分散型の構造で、末端に行くほど輸送距離が伸び、物量が少なく、ドライバーも不足し、地域の維持が課題となっている。共同輸送や中継輸送は、これら課題に対応するための一つの策であり、物流は協創領域に入ってきている」と問題提起した。

ヤマト運輸の菊池マネージャーは、道内における中継拠点の独自構想「リレイプレイス北海道」を披露。官民が連携し、道の駅・ヤマト運輸施設・公共施設・高速道路SAなどをオープンな中継拠点として活用する考えを示し、「道北北部エリアからリレイプレイスを整備し、地域の物流を設計していきたい。1社では北海道独自の物流を創るのは難しい。みんなで一緒に取り組みましょう」と訴えた。

名寄商工会議所の藤田会頭は「道内の末端までモノを運ぶには、中継・貯蔵拠点を3カ所程度作るべき。また、北海道では物流をトータルにコントロールする部署が必要で、こういった独自の物流の仕組みがなければ物流危機は早期に解決しない」と強調し、旭川開発建設部の岩下部長も「部分最適ではなく、行政・自治体を含め、北海道全体で最適な物流を考えていかないといけない」と述べた。

北海商科大学の相浦教授は「道内では一回の中継だけでは届かないエリアもあり、全道すべてのネットワークを考えて中継拠点やマッチングの方法を検討する必要がある。実効性のある形にするには、サプライチェーンを構成する製配販の企業が商習慣を見直すだけではなく、消費者を含めた全てのプレーヤーがリードタイムの延長やコストアップを広く認めるなど、色々と分かち合い、譲り合って、物流を構築することが重要。『みんなで取り組もう』ということに尽きる」と述べた。

このほか、北海道運輸局が「2024年問題とその背景」を説明したほか、北海道開発局が名寄市の道の駅等で行なっている「中継輸送の実証実験」や、北海道流の物流マッチングモデル「ロジスク」など今年度の事業の成果を報告した。

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