全運研 全国トラック運送事業経営研究集会 札幌市で開催 「持続可能な物流」テーマに

全国運輸事業研究協議会(全運研、水野功会長)は9月13日、京王プラザホテル札幌で「持続可能な物流の未来」を統一テーマとして第54回全国トラック運送事業経営研究集会を開催した。全国から運送事業者ら約100人が参加した。

水野会長(千代田運輸)は基調報告で「ここ数年で国交省をはじめ、公取委、厚労省、経産省など行政の運送業界に対する態度が大きく変わった。標準的運賃をはじめ強烈な後押しをいただいており、この期間を逃しては、我々の業界の環境は変えられない。荷主に対峙する姿勢を見せ、運賃交渉とドライバーの処遇改善を進めることが第一。次に求められるのは効率化の取り組み。また、ネガティブなイメージの払拭も大きな課題。ドライバーの処遇を改善し、安心安全な職場にしないと、業界の地位向上はない。その原資を確保するには、理論武装して荷主に対峙することが重要となる。2024年度からの1〜2年間が業界を変えるチャンスだ」と述べた。

パネルディスカッションでは、北海道物流開発の斉藤博之会長がファシリテーター、北ト協の松橋謙一会長(山登運輸)、北海道運輸事業協議会の山本満哉会長(中央トラック)、名寄商工会議所の藤田健慈会頭、北海道開発局建設部道路計画課の松本一城道路調査官がパネリストを務め、「持続可能な物流」に向けた北海道での取り組みや課題などが話し合われた。

松橋会長は「モーダルシフトを進めるためにも、第二種貨物利用運送事業の許可手続きや運用上の要件などを緩和してほしい。また、中継輸送用のための上屋付き拠点を官民が連携して整備することを求めたい。災害時に物資を仕分けする防災拠点としても活用できる」と意見を述べた。

山本会長は「道路や駐車場など物流専用のインフラがあまりにも脆弱」と指摘し、藤田会頭は将来開設する名寄ICの近くに物流拠点(倉庫・給油・休憩・駐車・中継)と併せて貯蔵・生産拠点や観光拠点としても活用できる施設を「物流オアシス構想」として整備する計画を披露した。

松本調査官は「2024年問題をきっかけとして、道路整備を行う我々と、道路を活用する物流事業者との距離が近くなり、多くのアイデアをいただくようになった」とし、中継輸送や共同配送の実現に向けたマッチングイベント(ロジスク)を官民が連携して昨年度から行っていることを報告。

ファシリテーターの斉藤会長は「北海道は高速道路を使っても1日で荷物を届けられない地域が多く、また、全体の65%が消滅可能自治体とされ、届けられない地域がますます過疎化していく。物流の課題先端地域である北海道で起きることは、他の地域でも将来起こりうる。業界として『何ができるか・するべきか』を今日を契機として発展的に考えていきたい」と述べた。

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