札幌都心交通研究会が主体となり昨年6月下旬から10月上旬にかけて、札幌市都心部の「さっぽろシャワー通り」と「南1西2・3中通り(123歩通り)」で道路空間活用と荷さばき整序化を行う社会実験を行った。この結果が2月6日に公表、荷さばき整序化は主に123歩通りで行われ、荷さばき車両の駐停車時間が大きく減少した。
同研究会は、大規模商業施設運営会社、大学、札幌大通まちづくり、札ト協などで構成。オブザーバーとして行政機関が参画している。今回、「歩行者利便増進道路制度の機動的な運用やエリア物流マネジメントによる都心部中通り魅力化に向けた社会実験」の名称で実験を行った。

札幌市の都心部では、貨物車両や一般車両の駐停車が多く発生し、走行車両の速度が高く、安全に通行できる歩行空間が不足するなどの課題があった。
実験では、「荷さばき中心時間帯」と「歩行者中心時間帯」で道路空間の運用を変更し、歩行空間を確保。あわせて、沿道商業施設内での配送は別の事業者(館内配送事業者)が対応、ドライバーが施設に入らないようにし、駐停車時間の短縮に努めた。
この結果、荷さばき中心時間帯は、一般車の駐停車が著しく減少し、貨物車主 体の荷さばき空間に変化した。また、沿道商業施設の館内配送事業者との連携などにより、中通りの貨物車1台当たりの駐停車時間は約11分短縮した。沿道商業施設の各店舗には、個別配送から都心部東側の物流センターへ集約し、まとめて配送する形式を促進。この形式での配送を利用した企業は、実験前と比べて1・3倍にのぼり、中通り全体の貨物車の駐停車は88台減少。貨物車の駐停車時間と台数は減ったが、効率的な配送により実験前と同等量を配送できた。
新たな荷さばき空間を設置し、地域と連携した周知・啓発により、中通り全体の一般車は35台減少し、1台当たりの駐停車時間も約16分減少、一般車の整序化も実現した。
貨物ドライバーの約7割が今回の実験による新たな荷さばき空間の運用方法を「支障なし」と回答したほか、中通りを利用する歩行者の約9割が同実験を「継続してほしい」と回答。 沿道商業施設などからも否定的な意見は確認されず、取り組みの継続を望 む声を確認した。
今後は、荷さばき空間と歩行空間のタイムシェアリングの実施に向けて、沿道商業施設や関係機関と路面標示、占用物件、運用・管理体制などの協議・調整を行い、本格運用を目指すとしている。