エース(林博己会長CEO、石狩市)は4月7日、札幌サンプラザで「2019年度エースグループ経営方針説明会」を開催、今年度の事業運営方針などについて経営幹部がそれぞれ発表した。
林会長は「昨年度は自然災害が多く発生し、9月の北海道胆振東部地震とブラックアウトの際は、各営業拠点で従業員が朝から普通に出勤し、普段通りに働いている姿を見て、『これがエースイズムだ』と感動した。危機管理も行き届いており、社内のスタンドには1週間分程度の燃料の備蓄があり、稼働させるために直ぐ発電機を調達し、自社のみならず取引先などへも燃料の提供を行った。『燃料調達ができない』『信号機がつかない』といった理由で配送を行わなかった物流企業も少なくなかったが、それは物流のプロとしてはおかしい。信号が点いていなくてもトラックは走れ、待っている人に必需品を届ける使命が物流にはある」と話した。
併せて、3月に石狩市と「災害時等及び災害対策における救援物資等に関する協定」を締結したことを報告し、「非常時に全面的に協力ができるので、このような協定を全道的に広げていきたい」と話した。
荷主から輸送品質について高い評価を得ていること、昨年竣工した旗艦センターの「石狩第7物流センター」が荷主1社でほぼ一棟使ってもらえること、人材確保がスムーズにできていることなどを報告し、「今後もお客様から認められ、従業員が楽しく働ける環境を備えるエクセレントカンパニーを目指していく」と呼びかけた。
中野政嗣社長は「今年度は35周年を迎える節目の年。13%強の増収で売上高は90億円近くとなった。石狩第7物流センターを成功させ、より大きな投資を行い、次の展開に進みたい。5年で300億円の企業グループを目指す」と述べ、オーガニックグロースで150億円を達成、あとはM&Aなどで外部の取り込みを図り、成長していく考えを示した。
また、独自の統合管理システムが完成したことを受け、「業務改善の本格的な初年度」と位置づけた。「システム刷新を進め、業務改善をしやすい環境をつくっていく。ITで出来ることはITに任せ、人間は創造的な業務に従事する。エースの品質は、1人1人の仕事の重なりによって表れる。それぞれが今日の仕事を完璧に行うことによって品質が形成される。今年度のキーワードは『品質』。この向上に軸足を置いてほしい」と訴えた。
林哲也取締役は、グループ初のWMS(倉庫管理システム)や無人フォークリフトシステムが完成し、これから本格稼働をはじめると報告。「Ace Logistics Integration System(エース物流統合管理システム)」の頭文字をとり、「ALIS(アリス)」と名付けたとし、「WMSとTMS(輸配送管理システム)を統合し、まずは石狩第7物流センターで稼働させていく。今後、優先度の高い拠点から順次導入し、業務改革をすすめていく」と説明した。
また、石狩第7物流センターについて「レールレス電動移動パレットラック」と「レーザー誘導式無人フォークリフト」を組み合わせた「無人作業と有人作業によるハイブリッド型」センターとなり、「これは全国初の仕組みで、マテハン業界では大きな注目を集め、見学依頼が多い。今後、これらと連動するロボットアームによるピッキングシステムの導入を検討しており、深夜にドローンが棚卸しする仕組みなども面白いと考えている。『地方の物流企業でもこのようなことができる』というショールームを兼ねた最新鋭のセンターとしてまだまだ進化していく」と述べた。
同センターを核として、「物流業界の問題解決、イメージ改善を図り、若い有能な人材がどんどん来てくれる企業を目指す。『夢がある、魅力的な、魅せる物流』を展開し、『北海道にエースあり』と、みなさんと共に打ち出していきたい」と語った。