丸吉ロジでは近年、売上規模が14億円台で推移しており、今年度は16億円、東北での2拠点の本格稼働に伴い、近い将来には20億円の達成が視界に入っている。
主力事業は、トラック輸送のトランスポート(TL)、センター受注の3PL、モーダルシフト(MS)の3つ。これらをトータルで管理し、物流の最適化を図っていくことが強みとなっている。
セグメント別に売上比率を見ると、TLがおよそ半分弱、3PLが約3割、MSが約2割の構成。昨年度、主要荷主から運賃・料金の見直しを勝ち取り、今年度は金額的にはTLが大きく伸びるが、今後、東北での事業の本格稼働に伴い、3PL、MSの伸張が予想されている。
「特に近年、関東から仙台まで『トラックで運べない』というお困りの声が増えており、この取り込みが順調にいっている。シャーシを増やし、モーダルシフトだけではなく、陸送するならリレー輸送を試すなど、色々と対応策を考えていきたい」。
同社が得意とする事業モデルは運送のほかに、物流診断、入出荷、切断加工、検品検収など倉庫のオペレーションにおいて、必要な分を引き受けるもの。加工機械など必要な設備は受け入れるが、不動産や建屋は基本的にノンアセットで行う鉄の物流の一括受託が強みだ。
また、物効法を最大限に活用している。2年前に北海道苫小牧市〜千葉県間の鉄・鋼材などのトラック輸送について、積載能力に優れる27㌧改良アオリ型(ジャバラ付)フェリーシャーシを活用し、RORO船を利用した海上輸送を行う取り組みによって、物効法の認定を受けた。「これが大きな効果を発揮し、その成果として昨年、グリーン物流パートナーシップ優良事業者表彰を受けた。この取り組みを知っている他のお客様からの引き合いが増え、これが東北での2拠点の開設につながっている」と説明。
うち一つの案件は、荷主がトラクタヘッド4台とシャーシ6台を購入し、同社はそのオペレーションを担う形。「ありがたいことに『変わった形のチャーター契約』となる。走行距離150km圏内の動きでは通常のチャーター契約だが、150kmを超えた部分は別途運賃が発生する仕組み。また、拘束時間13時間分は通常のチャーターだが、これを超えた分も別途支払っていただく。鉄の物流業界ではこのような形はほぼ見かけず、1台いくら、トンいくらという形が未だに多い。倉庫のオペレーションも担うので、倉庫作業員が晩積みするなどして物流の効率化が図れる。お客様も運送業界について相当勉強をしていて、ドライバーの改善基準告示遵守や労働環境の改善など、物流の維持・確保のために他人事ではないと認識している」。
同社では、国交省などが発行している「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」や「トラック運送サービスを持続的に提供可能とするためのガイドライン」の内容のまま、荷主と連携を図っているという。「働き方改革に関する様々な資料は面白くて勉強になる。お客様との打ち合わせの中で、これらの冊子を活用しながら実際にやりとりをしている。当社に対する期待感を感じており、『人員の確保・成長のメドがたってから仕事を受けます』というスピード感ではとてもついていけない」。
現在、2拠点の立ち上げを行っている東北には、関東から管理者を異動させた。思い切って人材を当てはめ、変化によって成長を促すことを強く意識している。
「東北に配置した管理者は、行ったことで力量が上がっている。関東でもその管理者のポジションも空いたため、新たに人材の登用が図れる。既存の枠の中で準備が整い、余力があるから新しいことが出来るのではなく、まず新しいことがあり、そこに向かって飛び込むと元の場所が空く。それを埋めていくという感覚を大事にしている」。
人員の配置を意図的に変化させることで、大きな成長につながると考える。「それを冒険、無謀という人もいるが、順番にステップを踏むということはやったことがない。『時期が来たら』と考えていたら、新しいことは難しい。多少無理でも何か新しいことをやらないと、その人の成長にもならず、会社の変化にもつながらない」。
社長としての10年間を振り返って、「就任時は運輸と工事の会社。旧社名にあった機工(工事)部門を閉鎖する際、利益は出ており、一番の稼ぎ頭だった時期もあったが、優位性が発揮できると確信した『鉄の物流』に経営資源を集中させる上で、事業上のシナジーがほぼないだけではなく、物流部門と方針がぶつかる面もあったため、思い切ってやめた。このほか、発寒営業所の立ち上げと閉鎖、メタル便事業の立ち上げ、関東への本格進出、東北への本格進出などもスピード感をもって判断してきた。変化がなくて、平穏無事にそれで会社が続くならそうしたいが、経営環境はそうではない。変化によって起きるメリットを認めなければならない」と力強く語る。
「経営者としての実績としてまだまだと感じているが、経営は非常に楽しく、充実感を感じる。会社も徐々に『変化に耐性』がつくようになり、変化即応を楽しんでいる人が増えている嬉しさがある。『変化できる組織』になってきた手応えは感じている。変化はとめられないし、止めたら怖い。変化の中で成長していく社員を見るのが一番嬉しい」としている。