北海道が事務局を務める「次世代モビリティサービスの活用に向けた研究会」が10月30日に設立され、初めての会合が同日、かでる2・7で開催された。
北海道がトヨタ自動車やソフトバンクなどが立ち上げたMONET Technologies(東京都港区)と9月に締結した「次世代モビリティサービスに向けた連携協定」を契機として、道内各地域の活性化に向けて「最新技術の動向、国や企業の取り組み等の情報共有」「具体的プロジェクトの検討」について研究・検討を行うもの。
道内30の市町村(函館市、小樽市、旭川市、室蘭市、網走市、留萌市、苫小牧市、士別市、千歳市、深川市、富良野市、北広島市、石狩市、北斗市、当別町、鹿部町、厚沢部町、奥尻町、黒松内町、真狩村、余市町、長沼町、初山別村、江幸町、豊浦町、厚真町、安平町、様似町、新ひだか町、大樹町)をはじめ、国の機関として北海道経済産業局、北海道運輸局、北海道開発局、また、北海道とMONET Technologiesが参画してスタートした。
北海道総合政策部政策局の天野紀幸参事は「自動運転の社会実装が進む中、地域のニーズにあった形で住民サービスにつなげていくよう研究していく。自動運転に地域課題を解決するサービスを載せられるよう、少し先の社会の形を見据えて勉強する。得られた知見を北海道全体で共有していきたい」と挨拶。
北海道経済部産業振興局の佐藤秀行産業振興課長が自動運転の通年実用化に向けた取り組みについて、「平成28年6月に自動運転に関する産学官連携体制である『北海道自動車安全技術検討会議』を立ち上げ、自動運転に関する様々な相談に対応するワンストップ窓口を全国で初めて設置した。この窓口では今年9月末までに179件の利用があり、延べ62件の自動運転の実証実験(公道試験26件、非公道試験36件)、冬道での試験も24件行っている」と説明。「札幌市での配送ロボット」「上士幌町での貨客混載」「大樹町での貨客混載」「斜里町での大型トラックによる自動運転レベル4の実験」といった実例を紹介した。
このほか、国の3機関が次世代モビリティに関する取り組みや支援措置について説明。北海道開発局道路計画課の栗山健作道路調整官は、今年5月から30日間運行した「道の駅コスモール太樹を拠点としたバスを活用した高齢者の移動支援・貨客混載による物流支援」の実証実験の結果を報告。同実験は、自動運転レベル2(ドライバー同乗)で公道を走行し、自家用有償旅客運送により料金を徴収して長期間行った全国初の取り組み。期間中延べ736人が利用し、「自動運転の導入により人件費を約3分の1に抑えることが可能」という点が検証できたものの、事業採算性の面からは「国や自治体からの補助や、貨客混載事業の拡大がなければ、抜本的な赤字解消には至らない」との見通しを話した。
MONET Technologiesは、自動運転車による「移動販売」「旅先での荷物運搬」「移動行政窓口」といった活用事例を紹介した。