北海道トラック輸送における取引環境・労働時間改善地方協議会(座長=千葉博正・札幌大学名誉教授)の通算13回目の会合が7月30日、ホテルノースシティで開催され、昨年度取り組んだ「アドバンス事業」の結果や実態調査の報告、今年度取り組む「実証事業」の概要説明が行われた。
「アドバンス事業」では閑散期に実験を行ったため、荷待ち時間等の短縮に至らなかった。「実証事業」では、生鮮野菜の物流に関し実験を進める。
昨年度の「アドバンス事業」は、「段ボールメーカーの物流」が対象。
メーカー2社を発荷主として、①「朝積みトラックのバース入庫のルール化」、②「引き取りトラックのための時間予約システムの導入」の実験を行った。
①では、発荷主がバース入庫時間の目安を指定、前日に運送事業者に連絡することで、荷待ち時間や荷役時間の短縮を狙った。
2月下旬に実験を行い、時間計測ができた11台の効果を見たところ、荷待ち時間は平均9分から11分と「2分増加」、荷役時間は平均1時間12分から「変化なし」だった。
また、届け先への配達時間は変わらないため、「配送先での荷待ち時間が発生」したケースもあった。
②では、工場まで引き取りに来る着荷主のトラックの時間が決まってないことから、引取時間の目安を事前連絡する運用を行った。
2台6便のトラックを対象に2月に実験を行った結果、平均滞在時間は13分から26分へと「13分増加」、また、引き取りトラックを優先させたため、「自社仕立ての出荷トラックの一部で荷待ち時間が発生」した。
時間短縮に向けた2つの実験で効果が見られなかった要因として、「実験期間が閑散期で出荷台数が少なく、出荷時間や作業に余裕のある時期だったため、実験前でも待機時間が短かった」「取り決めた時間に遅れないよう余裕をもって到着する意識が働き、その分の待機時間が発生した」などと分析。
しかし、①の実験では「実験を重ねることで経験値が増し、指定する入庫時間に不要な余裕を持たなくすることができ、拘束時間の短縮も可能となる」「入庫時間の指定は、荷待ち時間の解消に一定の道筋を見出すことができた」とし、②の実験では「引き取りトラックの到着時間がわかることにより、発荷主側では準備ができ、概ね荷待ちすることなく積込み作業が効率よく実施でき、作業員の作業効率改善にも一定の効果があった」とした。
今後の改善に向けては、「対象製品を広げての検証や通常期や繁忙期での検証」を行い、「入庫に係る事前予約・連絡」「パレット輸送化」「共同配送」の検討が望まれるとした。
また、このほか必要と考えられる取り組みとして、「物流は協調領域との認識を高め、業界レベルで納品先への動きを徹底」「パレットからパレットへの積み替えの廃止」「時間指定は料金を徴収」「着荷主への到着時間の弾力化」「農産物収穫期等の繁忙期対策」などを挙げた。
今年度は8月から10月にかけて、「生鮮野菜」の物流を対象に実証事業を行う予定。道北の生産地から道央圏のスーパーマーケットの店舗まで一貫輸送を目指す取り組みを進める。段ボールではなくクレートを利用し、パレットやドーリーなどを活用した輸送に転換することで、ドライバーやセンター作業員の作業軽減、時間短縮、安全性の度合いなどを検証する。