北海道物流開発(斉藤博之会長、札幌市西区)は、遠隔での監視・操作機能を搭載したサンデン・リテールシステム製の可動式保冷庫「REVOCOOL(レボクール)」の最新機を5月7日に2台導入した。遠隔機能搭載モデルのレボクール導入は全国初となる。
展示会の開催等で同製品の広い活用を促すことにより物流の生産性向上やサプライチェーンの効率化を図り、北海道において、同社がビジョンに掲げる「フィジカルインターネット」構築の基盤創りを進めていく考えだ。
レボクールは、昨年10月から販売開始されたコールドロールボックス(CRB)。
運搬用台車(カゴ車)の標準的なサイズ(幅1100×奥行き800×高さ1700)にまでコンパクト化し、標準的な2㌧・4㌧の箱車でも2列で積めるよう積載効率を高めた。
電源は汎用性の高い単相100V仕様とし、無電源の状態で冷蔵・冷凍とも保冷時間10時間を確保している。
これに、遠隔監視・操作機能を搭載したことで、クラウドサーバを通じて、どこにいても同製品の位置・温度・湿度・外気温・扉の開閉履歴などの情報を常時スマホ、PCでモニタリングできる。加えて、電子的な商品の盗難対策も施されている。
同社では既に遠隔機能のないレボクールを3台導入しており、今回の遠隔モデルとあわせて5台の保有となった。
同社では、近年主に学術的な概念として注目されている「フィジカルインターネット」を、サプライチェーン上に実装する各種取り組みを進めており、そのキーデバイスの1つとして「レボクール」を位置づけている。
「フィジカルインターネット」とは、ネットワークが相互接続された状況で、データが標準化・細分化された通信単位(パケット)として最適なルートを通り、受信者の元に届けられる「インターネット」の仕組みを物流に応用した考え方。
オープンなネットワークを事業者間で共有し、標準化されたモジュールによって、効率的かつ、途切れることのない物流ネットワークを構築しようというものだ。この標準化されたモジュールの1つとして、レボクールの活用を考えている。
新規事業開発部の久保重好課長は活用シーンとして、「一般的なドライの箱車でも、レボクールを活用すれば、常温、冷蔵、冷凍の3温度帯が効率的に運べる。冷蔵・冷凍の荷量が少ない遠隔地などへも、ドライのトラックに積み合わせて輸送ができる。ドライバーと車両の効率的な運用やCO2の削減にも貢献できる。」と紹介。
また、「冷蔵・冷凍設備が十分ではない店舗や施設でも、レボクールがあれば冷蔵・冷凍庫の代わりになる。例えば、深夜早朝の時間帯に配送先の店舗のバックヤードなどにレボクールを置き、そのまま冷蔵・冷凍庫として使ってもらうということが可能」とするほか、「野外でも長時間使えるので、コロナ禍が一定程度収まった際、野外イベントなどで有効。発電機があれば終日にわたる販売も可能となる」と話す。
さらに「トラックに積めるコンパクトな電動貨物ローダー『イノリフト』と併用すれば、パワーゲートがないトラックや、フォークリフトがない現場でも、レボクールの積み降ろしができる」と紹介する。
新規事業開発部の佐藤忠部長は、「北海道では、生産人口が減少して労働者が不足するとともに、労働者の賃金も上がってきている。また、物流業界では、ドライバーの就労時間の厳守化、あわせて、運賃と付帯作業にかかる料金の分離を求める機運が高まり、北海道経済の維持・活性化のためにはサプライチェーン全体での効率化が必要となっている。面積が広く、札幌圏に一極集中し、地方では過疎化が進み、構造的な片荷や季節波動を余儀なくされる北海道の特性にあわせた物流の生産性向上施策を進めていくため、レボクールは重要なモジュールとなる」と解説。
「店舗などでレボクール内の在庫がなくなった場合、レボクールごと交換するといった効率的な補充もできる。また、運搬容器ごと商品をレボクールに入れ、店舗でそのまま什器に陳列するという使い方も可能。こういった活用によって物流と小売双方の現場における効率化もでき、サプライチェーン全体での効率化につながる」と強調する。
「『現状、物流が何とか維持できている』ということで、何もしないというのがまずい。「物が届かなくなる時代」は、既に序章が始まっている。今回のレボクールを皮切りに、今後も様々なセンシング技術の実装により物流DXを進め、北海道を物流から元気にしていきたい」と話している。