BIRD INITIATIVE(北瀬聖光社長、東京都中央区)と日本電気(森田隆之社長、東京都港区)は6月17日、パーソルプロセス&テクノロジーがNEDOから受託した事業「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト/地域特性・拡張性を考慮した運航管理システムの実証事業」に係る公募に、稚内市、ANAホールディングス、北海道ドローン協会、FRSコーポレーション、HELICAM、情報・システム研究機構国立情報学研究所、アインホールディングス、東京海上日動火災保険と共同提案し、採択されたと発表した。
ドローンは既に空撮、農薬散布、測量、インフラの点検等の場で広く活用され、また、離島や山間部、過疎地域等における荷物配送や、今後は都市部での物流等、多様な産業分野の幅広い用途に利用され、多くの人々がその利便性を享受する社会が期待されている。
政府は2022年度を目処として「無人航空機の有人地帯での目視外飛行(レベル4)の実現」を目標に掲げており、この目標の実現に向けNEDOによるドローン・ロボットの開発促進や社会実装するためのシステム構築及び飛行試験が2017年より実施されている。
今回の地域実証では、地域特性・拡張性を考慮した運航管理システムの実証事業として、複数のドローンが同じ空域で安全かつ効率的に飛行できるようにするドローン運航管理システム(UTM)の実証実験を、稚内市における地域課題解決に向けたユースケースを対象に実施する。2021年8月~9月の間に、約1週間の実証実験を2回行う。
各社の役割は、以下の通り。
BIRD INITIATIVE:UTMの機能を実装した運航管理サブシステムを運用して、運航管理統合機能や運航事業者との接続性の検証を行う。さらに欧米で採用されている分散型UTMを利用した実証実験を行う。
BIRD INITIATIVEとNECおよび、地域実証に参画する企業は、この地域実証への参加を通して、ドローンの有人地帯での目視外飛行(レベル4) の実現に向けたUTM実用化に取り組むとともに、ドローンを用いて社会課題を解決するソリューション・事業の確立に貢献していくとしている。
NEC/国立情報学研究所:分散型のUTMではドローン間の衝突回避のために、運航事業者間での利用空域の調整・交渉が重要となる。NECは、理化学研究所や産業技術総合研究所と共に研究開発している自動交渉AI技術と、国立情報学研究所と共に研究しているデジタルツイン技術とを活用して、稚内市を仮想空間内に再現し、ドローンの衝突回避シミュレーション実験を行う。
ANAホールディングス/アインホールディングス:医師の偏在、医療アクセスの悪化や過疎地における処方箋医薬品の配送課題に対して、市立稚内病院・アイン薬局が連携して患者とオンライン診療・オンライン服薬指導を実施し、ドローンによる処方箋医薬品配送の実証実験を行う。
北海道ドローン協会/FRSコーポレーション/HELICAM:北海道の水産都市では、定置網内の魚がアザラシなどに食べられてしまう被害や、ホタテやアワビなどが密漁される被害が深刻であり、この被害を減らすためにドローンによる監視等の実証実験を行う。
東京海上日動火災保険:分散型UTMでの責任の所在の分析など、UTMを用いたドローンの運航に関するリスクマネジメントの網羅的な検討を、実証実験への参加を通して行う。