北海道初の物流におけるEVトラック実証 コープさっぽろ「宅配トドック」で

コープさっぽろ(大見英明理事長、札幌市西区)は、「EVトラック」による宅配トドック配送の実証を札幌市内で来年1月から開始する。物流のカーボンフリーを目指した北海道初のEVトラック実証となる。11月24日、本部で大見理事長と小松均執行役員宅配事業本部長が同実証にいたった背景や今後の展開などを説明した。

コープさっぽろでは、持続可能な事業活動を推進するため、店舗や組合員から集めた使用済み食用油(廃食油)を再生したバイオディーゼル燃料を配送トラックに使用してきたほか、2018年に「RE100」に加盟し、2040年までに事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーにするという目標を掲げている。

環境に配慮した物流に取り組む中、来年1月より、実配送におけるカーボンフリーの新たな取り組みとして、EVトラックによる宅配トドック配送の実証を始める。車両は三菱ふそうトラック・バスの電気小型トラック「eCanter」を活用する。

宅配トドック札幌西センターを拠点とし、主に同市西区での配送に1台のEVトラックを運行させる。特に寒冷地おける市街地や傾斜地でのバッテリーの消耗頻度、実走行距離や配送時間などのデータ測定を行い、現在のEVトラックの実務における性能を実証する。
1月上旬に実証をスタートし、同月下旬から2月中旬にかけて実験結果を分析、2月下旬に検証結果の確認を行う予定。

小松本部長は「宅配トドックは現在、利用者43万世帯に向けて、1300台近くの車両で全道をカバーしており、年間の総走行距離は925万6300㎞あまりに及ぶ。また、コープさっぽろ全体の事業活動における軽油使用料は2020年で年間2374kl、CO2排出量は6125㌧であり、このうち宅配トラックによるCO2排出量は年間約4800㌧に及んでいる。2030年度に全面的にEV化を進めたい思いがあるが、寒冷地なので難しい問題が多い。厳しい条件の中でデータを蓄積していきたい」と説明した。

大見理事長は「持続可能な社会の実現に向け、配送車両のEV化を目指す第一ステップが本日となる。これまでの積み重ねでやっと配送車両のEV化に進むことができ、嬉しく思っている」と述べた。
また、今後のEVトラック導入については、「寒冷地における物流向けEVトラックの導入はこれまで事例がなく、これが出発点。寒冷地での燃費や安全性などの知見を持たないと、以降のEV導入の展開が見通せない。また、宅配トラックは1.5㌧車が中心だが、冬場の配送には四駆が必須。これはメーカーの技術革新の問題で、今回の実証を契機として、メーカーには、より早い段階での四駆のEVトラックの市場投入を期待したい。車両の四駆化や小型化など、どのようなタイミングで実現されるのか、メーカーの努力に期待したい。どのようなEVトラックが出てくるのか、また、それらで実証を繰り返し、CO2の削減効果とコストパフォーマンスを判断し、導入を進めていきたい」と語った。

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