室蘭開発建設部は9月12日、室蘭港港湾施設群が、令和4年度土木学会選奨土木遺産に認定されたと発表した。室蘭港としては初の認定となる。
同施設群は、国内有数の石炭積出港として近代化と鉄の街の飛躍的発展に貢献した港湾の歴史と技術を伝える構造物群。「南防波堤」「北防波堤」「旧大黒島灯台」「旧国鉄ふ頭(現入江フェリーふ頭)」「旧北荷ふ頭」「本輪西ふ頭(栗林商会専用埠頭)」「北日本ふ頭」の7施設で構成。北海道開発局、室蘭市、室蘭埠頭が管理している。
同施設群は、1875(明治5)年、札幌と函館を結ぶ海陸交通の結節点として室蘭に港が開かれ、船舶の航行の安全ため、1891(明治24)年に大黒島灯台が設置。1892(同25)年には岩見沢との間に鉄道が完成し、室蘭港からの石炭の積出が始まった。
また、石炭と噴火湾周辺の砂鉄を利用し、同40年代初めには製鉄所・製鋼所が室蘭で操業を開始。石炭・鉄鋼製品を積む船舶が港内で安全に 停泊・荷役できるよう1918(大正7)年に南防波堤、1921(同10)年に北防波堤の整備が始まり、ともに1927(昭和2)年に完成。防波堤完成後、石炭以外の貨物量も増えたことから、荷役作業の効率化のため栗林商会が自社専用の本輪西ふ頭を建設。
増大する石炭積出量に対応すべく、1934(同9)年に国鉄ふ頭、1940(同15)年に北荷ふ頭が建設。
その後、エネルギー政策の転換等により石炭の取扱がなくなると、国鉄ふ頭を再編しフェリーふ頭に転用。1959(同34)年、東北電力が自社の火力発電所向けに道内炭を自社調達すべく、北日本ふ頭を建設した。
土木学会選奨土木遺産の認定制度は、土木遺産の顕彰を通じて、歴史的土木構造物の保存に資することを目的としたもので、北海道の港湾としてはこれまで、小樽港(平成12年、同21年)、稚内港(同15年)、函館港(同16年)、 網走港(同18年)、留萌港(同22年)、松前港(同26年)、苫小牧港(同30年)が認定されている。