北海道運輸局・札ト協 高校生対象「物流施設体験会」

北海道運輸局と札ト協は10月21日、札幌国際情報高校のグローバルビジネス科の1年生120人を対象として「物流施設体験会in石狩湾新港2022」を開催した。同校の生徒は、石狩湾新港エリアの物流施設を見学したほか、物流事業者による講和を聴講した。石狩開発、石狩湾新港管理組合、エース、東洋水産、北海商科大学が協力した。

施設見学では、石狩湾新港の花畔埠頭(国際コンテナ輸送基地)のほか、物流企業のエースの物流センターで無人フォークリフトや電動パレットラック、台車型無人追従ロボットなどが稼働する様子を見学。また、道内最大級の冷蔵冷凍である東洋水産の石狩新港物流センターを見学した。

講話では、工藤商事(夕張郡)の工藤英人社長、幸楽輸送(札幌市清田区)の不動直樹社長、ジャスト・カーゴ(石狩市)の清野敏彦社長、北海道物流開発(札幌市西区)の斉藤博之会長がそれぞれ1時間にわたって物流に関する基礎的な知識や今後の重要課題などを説明した。

工藤社長は、今後の北海道の物流に求められるアイデアを募り、生徒からは「高所に物流施設を設け、パラグライダーや索道で配送する」「荷物に足や羽根を付け、運搬の自動化を図る」「動物専用道路を建設し、動物に配送してもらう」「海中にパイプを設置し、各港湾をつなぐ」「地面を凍らせて、荷物を滑らせて輸送する」「地下に輸送網を設ける」「電柱を柱としてパイプラインを結ぶ」といった多くの提案がなされた。

不動社長は、「物流は経済活動の最終工程であり、サプライチェーン上の多くの取引企業が行なった不確実な未来予測の積み重ねの結果でもある。輸送するトラックは実車率・積載率とも低くなり、非効率となっているが、サプライチェーン上の各主体が連携し、全体最適を求めることにより、大きく改善する余地がある」と訴えた。

清野社長は、「一件の戸建住宅を建てるには数百社の資材メーカー、数万点の資材が関わり、全て専用の情報システムで管理され、必要な分だけ本州から資材が毎日送られてくる。北海道は物流コストが高く、今後、特に地方部では『住宅が販売できない』という事態が起きるかもしれない」と述べ、省人化・自動化された物流の仕組みが求められていると解説した。

斉藤会長は、物流の効率化を妨げるのは「荷物が斉一ではないこと」「情報が閉鎖的なこと」と指摘し、「モジュール化された容器に詰められた荷物を、複数企業が情報ネットワークを共有して輸送する共同配送システムが今後求められる」として、フィジカルインターネットの概念を説明。「今後の物流は、フィジカルインターネットがベーシックになる。北海道で持続可能で効率的な物流の仕組みを構築できれば、これを全国的に展開できる」と話した。

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