札幌市「道路再配分実証実験」結果 配送時間短縮など効果

札幌市と札幌開発建設部は10月26日、札幌都心商業エリアの主要な通りである「南一条通(札幌 市中央区南1条西2丁目~3丁目)」で実施した道路空間を再配分し、新たな空間を生み出す実証実験の結果を発表した。

同実験は「多様なニーズに対応し、新たな賑わいの創出に資する道路空間利活用の社会実験」の名称で6月17〜30日の間、札幌都心交通研究会(一番街商店街振興組合、札ト協、札幌ハイヤー協会、札幌地区バス協会、北海道大学、札幌大通まちづくり、北海道開発局、北海道運輸局、北海道警察、札幌市などで構成)が主体となり実施した。

同市の都心部では、昼間は買い物や食事をはじめ多様なニーズの市民・来訪者が多く行き交うが、夜間や早朝は荷さばきの空間が必要になるなど、時間帯によるニーズも異なっていたため、道路空間を再配分することで、生み出された空間をそれぞれのニーズに応じて時間帯によって運用を変更する実験を行なった。

具体的には、「片側2車線のうち1車線を削減し、賑わいの創出に資する道路空間を形成」「道路空間の一部を、賑わい空間と荷さばき空間として時間帯で運用を変更(空間のタイムシェア)」「自転車の車道走行を促進するため、矢羽根型路面表示の設置により通行位置を明示するとともにシェアサイクルポートの拡充や配置を変更」といった取り組みを実施した。

この結果、「歩行者数が約1・5倍、自転車の車道走行率は実験前に比べて平均で約1・7倍に増え、賑わいが創出」された効果があったほか、「休日における路上駐車が約2割減少」した。

また、配達時間短縮など配送作業の効率化に寄与したことが判明し、運送事業者へのヒアリングからは「エリア内の配達時間が短くなり、配送の品質向上につながると感じた」とのコメントがあった。

課題として、車線の削減により、朝の通勤時間帯を中心に一時的な渋滞や周辺エリアの路上駐車が増加したことが挙がったほか、恒常的な賑わいづくりに向けた担い手や運営・維持管理等を含めた持続可能な仕組みが必要なことも分かった。

今後について、「沿道事業者や運送事業者、関係行政機関等が連携して交通課題の解決と賑わい創出に向けた検討を継続し、必要に応じて、調査・取り組みを実施」するほか、「周辺の中通等の活用等も視野に入れたエリア全体の荷さばきスペースの運用の検討が必要」といった方向性を打ち出した。

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