幸楽輸送(不動直樹社長、札幌市清田区)は11月に道外初の拠点「関東事業部」を開設、北海道と本州を結ぶ主要なフェリー拠点である大洗港のフェリーターミナル内に同事業部を置いた。コロナ禍の中、道外初進出をした狙いは何か、不動社長と関東事業部長を務める小林禎史取締役に聞いた。
同社は、北海道コカ・コーラボトリングの子会社として道内全域にコカ社の製品を届けているほか、製品の調達物流を展開。また、農産品、飲食品、雑貨、資材などグループ以外の幅広い商材の物流を担っている。
広大な北海道において確実に商品を届ける物流管理の品質と、自社でも多く手がける高い積載率による道内幹線物流に大きな強みを持っており、「大量かつ安定的なベースカーゴがある」ことを活かした混載輸送・共同物流にも力を入れている。
不動社長は「北海道で販売されるコカ製品の20%程度は本州からの移入であり、北海道で製造する製品の原料となる液糖も移入。このほか本州での農産物の扱いも多かった。道外からの移入、道外での物流は、これまで協力会社にお願いをしていた部分が多かったが、これを内製化し、物流のコストダウンを図ることが長く課題だった」と説明。4〜5年前から道外への進出を本格的に検討し、「大洗港のフェリーターミナルで事務所が空いたと情報が入ったため、進出を決めた」と話す。本来は年度初めに開所する予定だったが、想定外のコロナ禍により半年あまりスタートを遅らせた。
関東事業部には、中嶋輝廣関東営業部長をはじめ、ドライバーなど北海道から6人が赴任。トラクタヘッドやバンなど5台の車両も北海道から持ち込んだ。「メンバーは『行くなら立ち上げメンバーとして行きたい』と自ら手を上げてくれた。やる気と一体感を持って、高いモチベーションでONEチームとしてやってくれている」と捉えている。
不動社長は「農産品をはじめとした北海道の良質な産品をもっと道外に広めたいが、その際、遠さやコストの高さなど『物流がネックにならない』仕組みを構築するため、本州に出た。これにより、北海道と本州の地方部同士の経済を結ぶ『ローカルtoローカル』の活性化により貢献できる体制が整った。物流を起点とした『ローカルtoローカル』の新たな需要の掘り起こしにも注力していきたい」と話す。
関東事業部長の小林氏は札幌事業部長、倉庫管理部長との兼任となる。「当社は北海道に育ててもらった企業。関東に進出しても、北海道の経済・物流の活性化に役立つよう運営をしていきたい」と抱負を述べる。