石狩市での「無人自動配送ロボットを活用した個人向け配送サービス」デモンストレーション

京セラコミュニケーションシステム(KCCS、黒瀬善仁社長、京都市伏見区)、石狩市(加藤龍幸市長)、ヤマト運輸(長尾裕社社長、東京都中央区)は11月14日、石狩市緑苑台東地区で同8日から実証実験として行なっている「無人自動配送ロボットを活用した個人向け配送サービス」のデモンストレーションを行なった。

ロッカーを20個搭載した遠隔型自動運転システムの「中型・中速ロボット」を活用。事前に作成した電子的な地図やGPSを利用して走行する。カメラをはじめとした各種センサーを備えているが、監視者が遠隔でモニタリングし、状況に応じてロボットを遠隔操縦する。走行中にCO2を排出しないバッテリー駆動で、最高時速15㎞で走行する。
車道での実証のため、北海道運輸局から保安基準緩和認定を受け、北海道警察から道路使用許可を取得した。

デモンストレーションは、同市紅葉山南公園でヤマト運輸のドライバーがトラックから荷物をロボットに格納した後、ロボットが車道を自動走行し、少し離れた住宅街の受け渡し場所まで移動した。荷物受け渡し場所では、住民がロボットのパネルを操作し、荷物を受け取った。路上駐車している車両をスムーズに避けるシーンもあった。

石狩市の加藤市長は「買い物弱者や配達の支援につながる。社会問題の解決と地域づくりに向けて、無人配送ロボットの社会実装を目指したい」と述べた。

ヤマト運輸札幌主幹支店の安蘇慎一支店長は「EC・宅配需要の高まりに伴い、ドライバーの持続的な確保が課題。広大な土地と積雪がある北海道では、物流網の維持が厳しい。無人ロボットの活用は、人手不足が危惧されるラストワンマイルの配送にとり、大きな可能性を秘めている。地域における新しい物流、次世代の地域づくりに貢献したい」と述べた。

ヤマト運輸札幌ソリューション支店の中出正宣営業マネージャーは「物流業界では2024年問題により、配達にかかる労働時間の削減が余儀無くされる。無人配送ロボットの活用により、ラストワンマイルの確保が可能となる。通年での運用に向け、雪の中での稼働に問題がないかなども検証したい。ユニバーサルサービスとして確立するよう協力していきたい」と述べた。

KCCSの吉田洋事業開発シニアディレクターは「小型・低速・歩道による自動配送の実証は各地で行われているが、これほど大きいサイズとスピード、広いエリアでの個人宅配の実証は日本で初めて。サービスとしての事業性とともに、完全無人の自律走行に近づけていくための技術的なポイントを見極めたい」と説明。
「実証期間は3年間あるので、社会実装は法律や制度の整備状況を見ながら、2024年度以降となる。人の仕事を補助・代替するだけではなく、ロボットならではのサービスの開発も検討していきたい」と話した。

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