北海道クールロジスティクスプレイス 道内最大級冷凍冷蔵センター建設着手

苫小牧埠頭(橋本哲実社長、苫小牧市)は8月21日、北海道クールロジスティクスプレイス(同)が、北海道「食」の新たな国際物流拠点を目指す道内最大級(2万200t)の温度管理型冷凍冷蔵庫の建設に着手し、同日に地鎮祭を執り行ったと発表した。
平成31年8月に竣工、同9月に営業開始の予定。総事業費は70 億円。
 
北海道クールロジスティクスプレイスは、道内最大の港湾である苫小牧港において最先端機能を有する食品向け大型冷蔵倉庫を整備することを目的に、苫小牧埠頭により同29年12月に設立。今年3月には、日本政策投資銀行、日本通運、北海道空港の出資を受けて事業体制を整備し、今次施設の着工に至った。

同施設は、苫小牧港唯一の「港湾型冷蔵倉庫」として、産地型と流通型が中心である既存の道内物流を補完する新たな物流モデルを構築し、①道内食品出荷の安定化・平準化②食品加工業の育成③道内産品の混載・共同化④空港と連携した輸出入体制の強化ー等による物流の高度化を通じて、北海道の食産業の更なる振興に寄与し、道産品の輸出拡大、食関連 産業の高付加価値化に貢献することを目指している。
また、事業手法として、新規事業の共同事業としての推進とリスク分担を図る観点から 「SPC(特別目的会社)方式」を採用し、北海道クールロジスティクスプレイスが施設の建設・保有を行い、苫小牧埠頭が運営を担う。

同施設は、「次世代型冷蔵倉庫」のモデルとなる次のような先進的機能を有している。
①多温度対応の大型複合施設物流拠点である苫小牧港に立地(ポートサイド)する大規模な多温度対応施設として、農畜水産物の生鮮品から加工品までの幅広い保管需要に応えるととともに、多様な輸送手 段の活用を可能とし、食産業の多様化する物流ニーズに対応(マルチユース)。
②長期保管と鮮度維持による出荷平準化 生鮮食品の鮮度保持機能が極めて高いCA(Controlled Atmosphere「空気成分調整」)冷蔵庫と急速冷凍庫を擁し、北海道食を最良の品質のまま市場環境を踏まえながら最適なタイミングで出荷することを可能とする高度な物流拠点となる。これにより季節繁閑や片荷を抱える道内物流の平準化を先導(イニシアティブ)する。
③新たな食品加工産業の育成食加工原料の全道からの一元的な安定調達を可能とするとともに、苫東産業地域や本施設周辺の土地利用、道内産地と加工メーカーのマッチング等を通じた高付加価値な物流サービスを提供することにより、北海道ブランドの食品加工産業の育成・誘致、中間加工品や冷凍食品の市場拡大、新たな食ビジネスの創出(イノベーション)を支援。
④道産食品の混載共同化による輸出促進新千歳空港にも近く、空港と港湾の両方のポテンシャルを活用(ダブルポート)するとともに、地域商社などと連携した物商一体型の海上小口混載輸送拠点を整備することにより、低コストな海上輸送の拡大、市場ニーズに沿った基幹的商品の開発等を進め、北海道食の輸出促進を図る。
⑤分散保管等による災害対応機能の強化 台風や地震等の物流網を寸断する災害に対しても、港湾における分散保管(バックアップ)は強みを発揮する。更に、十分な耐震性能と非常用発電設備を有し、港湾地域の津波避難場所としての機能も担い、港湾BCPの向上に貢献する。
⑥省エネ・省力化・環境対応を先導自動倉庫、無人フォークリフト、IoT管理の活用とともに、外断熱、自然冷媒機器などによる最先端のハードとソフトを組み合わせた省エネ・省力化・環境配慮型施設とする。中長期的には、港湾地域や食のサプライチェーンを繋ぐIT化を促進する。

同施設の事業化に際しては、昨年6月、食産業基地の形成に向けて、北海道大学、苫東、苫小牧埠頭が発起人となり、民間主導の「北海道フードロジスティクス・イノベーション推進協議会」を設立。本年3月には中間取りまとめを行い、「フードロジスティクス・イノベーション拠点」の形成を目指し、輸出加工事業化、IoT による物流効率化、長期保管冷蔵インフラ、人材拠点、地域連携によるハブ港湾化、越境 EC の活用等の具体的課題を提言している。
今後、同協議会と連携を図り、本施設の付加価値の高い戦略物流拠点としての役割の発揮に努め、「世界の北海道」における苫小牧港の発展を通じて、食産業の高度化と輸出促進、物流高度化への貢献を図っていくとしている。

【施設概要(予定)】
建設地:苫小牧市弁天1番地(苫小牧国際コンテナターミナル隣接地)
規模:敷地面積2万8441㎡、建築面積3984㎡、延床面積1万4178㎡
収容能力:2万200t(うち冷蔵7500t、冷凍7700t、冷凍・冷蔵切替5000t)
対応温度:冷蔵0~15℃、冷凍38~25℃、冷凍・冷蔵切替25~15℃

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