北海道地方協議会 実証事業の結果を報告 「荷主と運送の協議の場」の必要性を指摘

北海道トラック輸送における取引環境・労働時間改善地方協議会(座長・千葉博正札幌大学名誉教授)は2月22日、北海道トラック総合研修センターで第18回目の会合を開催し、実証事業の結果報告を行った。
今年度は、流通大手(アークスグループ)の店舗配送を対象に行った「昨年度の実証事業のフォローアップ調査」に加え、北ト協会員への「アンケート調査」を行い、荷主と運送事業者の関係性を調べた。

「フォローアップ調査」では、昨年度大きく転換した「アークスグループの店舗配送」のその後の経過観察を通じ、生産性や労働環境などの効果検証を行った。
同グループでは、「店舗配送後のトラックがベンダーへの引取り・センター納品を行う」「店別仕分けを物流センターで行う」「リードタイムを当日から翌日に延長する」など配送スキームを大きく変更。これにより、「トラックの実車率」が転換前の53・6%から64・7%に向上、「ドライバーの拘束時間」が13時間51分から11時間58分へと2時間近く短縮、「ドライバーの必要人数」が1日あたり93・5人から44・9人と半数以上削減した。このほか、「ドライバーの体力的負担」は50%が軽減したと回答、ベンダーと物流センターの生産性の向上も確認され、「荷主と運送事業者による協議の場があり、一体となった配送スキームの転換で成果が出た」と結論づけた。

「アンケート調査」は2956社を対象に行い、回答数は約20%の588件。標準運賃告示以降に「主な荷主と運賃交渉をした」会員は85・6%。交渉の結果、「改善」が18・6%、「一部改善」が52・9%、「変わらない」が11・7%だった。また、運送約款改定以降の付帯作業等の料金収受について「できている」が28・7%、「一部できている」が41・6%、「できていない」が22・4%となった。「交渉や課題解決に向けた荷主との定期的な協議の機会」について、「ある」が31・0%、「ない」が65・7%となり、企業規模が小さい会員ほど協議の場を有していないことがわかった。この結果、「荷主との各種交渉が未だ難航」「全体の3分の2が荷主との定期的な協議の場がない」といった実態が把握され、「物流課題の見える化・共有」が不十分と結論づけた。

中長期的に行政や業界団体が行うべき支援策として、「行政主催の意見交換会の開催」「荷主による運送現場の視察会」などの例を挙げ、「競争ではなく共創へ」と意識を転換する必要性を指摘した。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする