室蘭市(青山剛市長)は7月12日、パワーエックス(伊藤正裕社長、東京都港区)と「電気運搬船及び蓄電池の開発及びその利活用による室蘭港のカーボンニュートラル形成及び地域の振興に向けた包括連携協定」を締結したと発表。
協定の主な内容は「パワーエックスが行う電気運搬船等の開発に際し、室蘭港を北海道における拠点として利用する」「室蘭市は、室蘭港における港湾施設の利用調整を行うとともに、港湾施設の占用等について技術的な協力を行う」「室蘭市が進める洋上風力関連産業を通じた地域活性化の取組と、パワーエックスが進める洋上風力発電施設から港湾への電気運搬船等の開発の取組について、可能な限りの協力を行う」「室蘭港臨海部における再生可能エネルギー由来電力の貯蔵・供給・利用の促進について検討し、室蘭港におけるカーボンニュートラルポートの形成、室蘭港臨海部における新しい産業の創出及び災害時の電力確保による地域のレジリエンス向上を通じた地域の振興に取り組む」―ことなど。
電気運搬船は、船に搭載した蓄電池に蓄電し、電気を海上輸送するという世界初の送電手段。
日本では、2050年までにカーボンニュートラルの達成を目標に掲げ、洋上風力を中心に再生可能エネルギーの導入を促進しており、再生可能エネルギーは、導入ポテンシャルが大きい供給元と電力の需要地が離れている場合が多く、送電手段の強化が課題となっているため、電気運搬船はこれら課題の解決手段として可能性が期待されている。
室蘭港は明治5年の開港以来、北海道内で採掘した石炭の積み出し、石油製品や火力・原子力発電部材の製造など、製鉄・鉄鋼業を中心とする「ものづくり」を支える港湾として発展を遂げてきた。今年10月に就航予定の青森-室蘭フェリー航路や、北海道・東北で唯一となる22万トン級対応のクルーズ船受け入れ岸壁を活かした人流・物流の拠点として、また、天然の良港とものづくり・造船産業の集積を活かした洋上風力関連産業拠点としての役割を果たすことを目指した取り組みを進めている。