北海道 処理水海洋放出の影響

北海道では、ALPS処理水の海洋放出に関係して、各部局の迅速な対応を図るため、「ALPS処理水の海洋放出に関する庁内連絡会議」を8月下旬より設置し、9月14日までに6回の会議を開催している。

同会議では、国の動向や水産・輸出・物流など関連産業における状況などを広く把握・共有しており、この中で、中国向けに出荷した水産物の物流が大きく混乱している現状が確認され、保管スペース不足への不安や、保管料などへの支援を求める声が強まっている。

同会議では、ALPS処理水の海洋放出に係る関連産業の状況調査を継続的に行っており、8月29日開催の第4回会議では、貿易関係団体などから「中国向け・香港向けの水産物の輸出が止まっている」「カニ・サケなどの中国への輸出は全面ストップしている」との声が挙がっていたが、9月6日開催の第5回会議では、「中国向けに輸出した水産物が通関できず、貨物が積戻しされている」「冷凍保管しているホタテが中国に輸出できず、冷凍庫に余裕がない」などと具体的な問題確認された。
また、「空き倉庫への移送コスト、保管料など余剰経費が嵩んでおり、損失補償の対応方法を一日も早く示してほしい」「輸出・販売ができず収入がない中、仕入代金や保管に係る費用がかさみ、資金面で大変厳しい状況」「今後、各産地加工業者の保管能力を超過した場合、営業倉庫の早期満庫が懸念される」「一刻も早く国から保管料等に対する支援がなければ、事業が立ちゆかなくなる」といった切実な声が増えた。

9月14日開催の第6会議でも、「国内での荷動きの停滞により在庫増が発生し、価格下落がみられる」「一度輸出された冷凍商品が通関できず、返品が始まっており、関東・関西冷蔵庫が満庫状態のため道内冷蔵庫への入庫が始まった」「秋サケの水揚げが始まり、石狩・札幌地区冷蔵倉庫のスペースに余力がなくなってきている状況で、輸出向け水産物の保管スペースの不足が懸念」「水産物の冷凍物流トラックについて運送案件がない状態のところがある」との声が挙がり、「冷凍倉庫の確保や保管料の軽減のほか、国が水産物を直接買取・保管する仕組みの検討」「水産物の一時買取・保管への支援事業の申請者の要件の緩和」などを強く求める団体・事業者が出てきている。

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