JL北海道地域本部(野村佳史本部長、丸日日諸産業)は10月25日、札幌第一ホテルで「運輸局懇談会・経営者幹部社員研修会」を開催した。
野村本部長は「9月に起きた地震と停電で、運送会社にもBCP(事業継続計画)の必要性を痛切に感じた・問題が山積する中、相互扶助、協業の精神でお互い助け合っていただきたい」と挨拶。
北海道運輸局自動車交通部貨物課の工藤正弘課長、増田禎士課長補佐が出席し、同省が進めているトラック業界の取引環境改善・長時間労働意抑制の取り組みを説明したほか、意見交換を行った。
意見交換では、参加した事業者から「トラックでも、バスやタクシー業界のように最低運賃制度が必要ではないか」といった声があがり、これに対して「一部で運賃の標準化などを求める動きもあると認識している。このままでは物流がストップしてしまう危機感は共有しており、運賃制度に関して今後、何らかの手が入る可能性はある」と回答した。
このほか、みらい共同法律事務所の本間裕美弁護士が「最近の労働トラブル」と題して講演。本間氏は、労働者が未払い残業代の支払いを請求できる期間が、2020年4月に施行予定の民法改正に伴って、同年にも「現在の2年から5年に延長される可能性が非常に高い」と指摘し、事前に対策するよう呼びかけた。
残業代請求の時効が5年に延長された場合、仮に「基本給20万円、1時間当たりの残業単価1436円、定額残業代4万3500円(30時間分)、残業時間1か月80時間(深夜残業なし)」といった労働条件のドライバーが残業代を請求してきたケースを試算し、「時効が2年だった場合、1か月の残業代は7万1400円、2年分で171万3600円」となるが、「5年に延長されると1か月の残業代が7万7145円、5年分で462万8700円」になると示し、「これが3人のドライバーに請求されると1500万円になってしまう」と強調。
「トラックドライバーは長時間労働になりがちな上、拘束時間という独特の時間の概念があるため、労働者にとっても、弁護士にとっても狙われやすい業種である。残業代を支払わなくていい対策はないが、適正な固定残業代の運用、変形労働性の採用、休憩時間をしっかり把握するなど労働時間の管理によって、こういったリスクを減らすことができる」と話した。