札幌商工会議所は12月7日、北海道経済センターで第6回生産性向上セミナーを開催した。
ITを導入して様々な分野で生産性向上に取り組んでいる会員企業の事例を紹介するもので、道内ドラッグストア大手のサツドラホールディングス(HD)のインキュベータチームリーダーの杉山英実氏と、同社グループのAI TOKYO LABのCTO兼AI HOKKAIDO LAB所長の土田安紘氏が講演、「AI(人工知能)によるサツドラHDの働き方・物流改革」について説明した。
同社では、「働き方・物流改革」を目指して店舗内業務並びに物流の効率化に取り組んでおり、杉山氏は「少子高齢化・人口減少」「過疎化・都市集中」「働き方改革」など北海道は全国に先駆けて対応が必要とされる課題が多いと説明し、「その分、いち早く解決に取り組むことができるので、北海道は課題先進地域といえる。課題先進地域からのイノベーション創出を目指している」と話した。
土田氏は、サツドラ店舗で実験運用しているAIカメラの取り組みの紹介。
札幌市内の1店舗内に50を超えるAIカメラを設置し、来店客の購買行動や導線を分析、商品の陳列方法の改善や需要予測精度の向上を図るなど、最適なサプライチェーンの実現を目指すほか、店員の動きや作業内容を分析し、ムダの無い勤務シフト作りへの活用に取り組み、次世代の小売チェーンのあり方を探っている現状を説明した。
「AIによる精度の高い緻密な物量予測に基づき、物流センターや配送に関し、効率的な人員配置を実現できれば、大幅なコスト削減につながる」と話した。
AIカメラのシステム導入にかかるコストについて、「将来的に1店舗あたり月額10万円程度、1人分のパート人件費程度で導入できるようにしたい」と述べた。
また、2020年に「なくなる仕事」として「配達員や倉庫作業員が予想されている。AIの技術は、今まで人間がやらざるを得なかったが、本質的にやりたくない業務を次々にとってかわり、人間は創造性やコミュニケーションに関わる仕事をするようになる」と述べた。