「メガFTAと北海道農業への影響について」 北海道運輸交通研究センターなど 北海道農業と物流に関するセミナー開催

北海道運輸交通研究センターと北海商科大学は2月25日、北海商科大学で「メガFTA(自由貿易協定)と北海道農業への影響について」と題したセミナーを開催、50人あまりが参加した。日本物流学会北海道支部、札ト協、北海道物流を支える鉄道輸送の会、北海道農業経済学会が後援した。

北海道の農畜産物とその移輸出を含めた地域農業経営に及ぼすFTAの影響について、北海道大学大学院農業研究院の東山寛准教授が講演。
東山氏は、TPP11協定が昨年末、日EU・EPAが2月にそれぞれ発効し、今後、日米TAG交渉が控えていることを受けて、「日本の農地の約4分の1を占めている食料供給基地の北海道は、かつてない農業の自由化の波に晒されている。輸入動向、価格動向など、今後どのようなことが起こるかわからない」と解説。
メガFTAの影響として、関税等の引き下げ・撤廃により、①輸入品と競合する国産品の価格低下、②農業保護の財源の喪失、③輸入増加による国内生産の縮小ーが考えられるとし、「それぞれ影響を見極めながら、品目ごとに対策を充実させていくことが必要」と述べた。

国産小麦の例を取り、「1960年頃には180万㌧の収穫があったが、自由化に晒されて輸入小麦に押され、1975年頃には20万㌧にまで激減し『あわや安楽死』を迎えるかと思われた。しかし、機械化、品種改良、収穫・乾燥の徹底的な合理化、積み出し港でのサイロ貯蔵・ばら移出体制の整備などを進め、100万㌧近くまで持ち直してきた」と説明し、「生産サイドは、厳しい環境に積極的に対応してきた歴史がある。自由化は恐れても仕方がなく、対抗策を上手に組み立てていくことが求められている」と述べた。

また、北海道の農業において近年、物流への注目が顕著になってきていると報告。「道産農畜産物と加工食品の43%あまりが道外へ移出され、この移出を担っているのが物流。直近に発刊された北海道農業白書では『季節波動』『片荷輸送』『手荷役による積卸し』など、これまで長く言及されなかった物流の専門用語や課題が多く記載されている。これは危機感の表れであり、北海道の農業にとって物流は重要な要素であると農業関係者の間で共有されている証左である」と話した。

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