ドライバーの人材確保が厳しい状況となって久しいが、北海道〜本州間で大型車をメーンに冷凍品や青果物・食品などの幹線輸送を展開している三豊(外山芙美子社長、小樽市)では、働き盛りの若いドライバーの確保をスムーズに実現している。荷主主導でのパレット化による労働環境の改善が大きな要因だとしている。
同社では、トラック2〜3台が余りがちだったため、昨年11月末に地元求人紙に募集を掲載したところ、2週間ほどで7人の面接にいたり、うち20〜40代の4人を採用した。「募集人数が多かったので、若い人材を選ぶことができた」とする。
「他社と比べて著しく高給というわけではなく、普通の中小運送会社」とする同社だが、「主要荷主のパレット化」が人材確保の大きな要因になったと捉えている。
数年前、全国の輸送協力会社を集めた荷主の会議が開かれた際、関西地区の運送事業者が「もうバラでの積降ろしはやめてほしい。このままでは続けられない」と切実な声を挙げたという。この訴えを聞き入れ、荷主はその後、段階的にパレット化を進めるようになった。
同社が扱う荷物は現在、「ほぼパレット化され、それまでバラ積みで2時間かけて行っていた積込みが30分ほどで済むようになった。ドライバーの労働時間が削減したことに加え、何より作業負担が激減した」。
このことを求人媒体でアピールしたところ、問い合わせが増え、短期間で多くの面接ができた。「本当にほとんどパレットでの荷役作業なのか」という照会の電話も複数あったという。
同社では「会議の席で声を挙げてくれた同業者がいなければ、未だにバラ積みだったかもしれず、荷主の前で勇気のある発言をしてくれて感謝している。また、その後、荷主企業も全国の倉庫と率先して交渉してくれ、パレット荷役が可能な環境を着実に整備してくれた。設備投資も大きく、トラック一台あたりの積載量が減るにもかかわらず、本気になって改善してくれた」と感謝の声を挙げている。
同社では、パレット化により、ドライバーの作業負担軽減のみならず、拘束時間・残業時間の削減にもつながり、管理面でも大きなメリットが出ているとしている。