北海道エコ・モビリティ研究会 連携して地域の価値をあげる 物流面での整備も進める

北海道エコ・モビリティ研究会(高橋清会長・北見工業大学教授)は7月24日、北海道開発技術センターで今年度1回目の会合を開き、これまでの研究成果と今年度事業の計画について協議した。

同研究会は、サイクリングを中心に、カヌー、トレッキングといった人力によるアクティビティと公共交通機関を組み合わせて楽しむ「新しい北海道の観光モデル」を提案するため、道内の観光・物流・交通・行政関係者らをメンバーとして、ルートの選定や受入環境の整備、サポート・ガイドの育成、公共交通との連携、物流体制の構築、旅行商品化などを進めている。
物流業界からは、北海道物流開発(札幌市西区)、ヤマト運輸北海道法人営業支店・同札幌主管支店、幸楽輸送、ハートランドフェリーなどが委員として参加している。

高橋会長は「交通の面では、全国各地でMaas(Mobility as a Service)の展開が相次いでおり、その際の重要なキーワードは『連携』。これは、同じ方向を向いてみんなで努力することで、当研究会も情報共有をしながら、最終的には、エコ・モビリティを通じて『地域の価値・魅力』を向上させていきたい」と訴えた。

これまで、「道北」「道東」「道南」を実証フィールドとして、ツアーの試行やルートの選定、観光創出事業などを進めており、今年度は実証フィールドに「道央」を追加する。このほか、これまでの取り組みをまとめた「成果報告書」を作成・発行する。

同研究会によるこれまでの成果として、実証フィールドを中心として、「各地でサイクルラックの設置や工具の貸し出しなどが行われるようになった」「サイクルツーリズムに興味を示しているホテルでは、自転車の客室の持ち込みや室内での保管対応が行われている」「案内看板の設置などハードの整備が進んだ」ことが確認できたと報告された。

物流面では、実証実験によって「手荷物の当日配送が実施できる可能性を確認できた」「安全に自転車を運搬する方法の確認ができた」といった成果があったほか、公共交通機関との連携の面では、「自転車をそのまま積載できるサイクルバスやサイクルタクシーの運行が行われた」「既存の列車に自転車を輪行バックなしで積み込む許可がJR北海道から出なかったが、今後も調整を進める」ことなどを確認。
今後の方向性として「手荷物当日配送のコストと収益性について調査・検討を行い、不採算区間については公共交通の活用等、低コストな手法を調査する」ことが確認された。

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