エース「未来のエースマンへ」発行 バイブル・道標として 35年の集大成

エース(林博己会長CEO、石狩市)は、同社の歴史や経営のエッセンスなどをまとめた「未来のエースマンへ 林博己が語るエースの35年」と題した書籍を昨年12月27日に発行した。
林会長は「これからもエースがずっと発展し続けるためのバイブルに近いもので35年間の集大成。社員に対して、『道を間違えるなよ』『こういうことがあったぞ』というメッセージを示した」と話す。
創業した林会長と、同会長の娘の林美奈専務が編集を担当し、約1年の制作期間で発行に至った。35年分の多くの資料や写真を厳選して盛り込み、経営理念や重要なエピソードを掲載したほか、これまで支えてくれた恩人らのインタビューも載せた。

1500部作成し、全社員のほか、希望するパート従業員ら社内に配布する。1月5日に開いたグループの経営会議で初めて幹部社員らに渡した。同社は売上規模300億円のグループ形成に向けて今後、M&Aを積極的に進めていく方針だが、新たにグループ入りする企業の経営者や幹部らに「エースイズム」を知ってもらうツールとしても活用したい考え。非売品で外部への配布は行わない。

林会長は「会長に就き、第一線から少し距離を置いたことで、今のうちにエースの歴史を語り、道標を残す必要性を意識し始めた。記憶より記録に留めるべきだと考えた」と話す。
また、一昨年9月に発生した北海道胆振東部地震が実際に制作に動く大きな引き金となった。

全道ブラックアウトで多くの企業が麻痺・混乱する中、同社では「みんな何事もなかったかのように出社し、いつもと同じように働いていた」「目の前にいるのは昨日と同じ社員全員が揃ったフロアだった」という。この情景を見て、「いつも『私たちの仕事は一般消費者一人一人に商品を届ける大切な仕事だ』と言っており、こういった考えが社員に浸透していることを実感した。『これで俺の仕事は終わった。エースイズムが理解された』」と感じ、この際の感激が、制作の大きな原動力となった。
このエピソードは、同書籍のプロローグに「胆振東部地震のその日、エースは本道物流業界のエースとなった」として掲載、林会長も「最も記憶に残る出来事」としている。

編集中、「こんなこともあった」と改めて気づくことも多かったという。「昔は地方の営業拠点に賞与を渡しに行く際、家族旅行も兼ね、テントを張ったら直ぐにスーツに着替えて営業所などを訪問し、仕事をこなした。夜になると家族の下に戻り、キャンプをするという『二足の草鞋』もよく履いていた」と振り返る。こういった写真もふんだんに掲載した。

装丁も工夫した。カバーや表紙は同社のイメージカラーの鮮やかなグリーンをベースに、ハンドルとタイヤを多く散りばめ、カバーの内側にもこれらの印刷を施した。
林専務は「どこに置いても目に入りやすい派手なデザインにした。カバー内部の印刷は『荷物を大事にする』という運送会社らしさを表す意匠。メモの欄もあり、これは自由に活用してもらいたい」と説明した。

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