北海道開発局 「道産食品の輸出拡大に向けた検討」「生活空間を支える物流インフラ維持に向けた公的施設の利用可能性検討調査」発表

北海道開発局は7月7日、北海道総合開発計画の企画、立案及び推進に必要な調査として行っている「北海道開発計画調査」の令和元年度の報告書を発表した。
報告書は、①「道産食品の輸出拡大に向けた検討」、②「生活空間を支える物流インフラ維持に向けた公的施設の利用可能性検討調査」、③「北方領土隣接地域等におけるドライブ観光促進方策検討調査」の3本で、このうち①と②が物流に関わる内容。

「道産食品の輸出拡大に向けた検討」では、輸送コストが高額であることや、海外現地での嗜好の把握が難しいという現状から、「北海道輸出情報ポータルサイト」の開発、「小口貨物混載便を活用した台湾輸出の実証実験」など実施した。

輸出実験は63商品を5回に分けて実施、海上輸送費、通関費用、保管料などを含めた総輸送費を算出し、1㎏あたりの輸送費を換算、FCL(冷蔵)は約160円、LCL(常温便)が約1600円、LCL(冷凍便)が約 3300円となった。また、小量多品種の輸入通関では審査が厳しく、台湾当局から85件の指摘があり、現地海貨業者との間で約400回のやりとりを行うこととなった。

取りまとめとして、「手続きの簡素化」を図るため「実証実験を含めたこれまでの通関ノウハウを活かした適切な情報の提出」「必要な情報をサイトのシステム上に組み込むなど、データベースとしての蓄積」などが必要とした。

また、「物流コストの低減」については、「通常の貿易では輸入者が取引したい貨物量を指定するが、今回の実験は、輸出チャレンジの要素もあり、 輸出者側で貨物量を決めているため、必ずしも最小単位に満たず高い輸送単価となった。大口貨物のない荷主にとっては、小ロットでも低コストで輸送できるLCLを活用し、継続的な取引を創出していくことが重要」とした。


「生活空間を支える物流インフラ維持に向けた公的施設の利用可能性検討調査」では、「物流効率化に寄与する公的施設の利用可能性」について調べたもので、①名寄地域(名寄市、士別市、剣淵町)、②遠軽地域(遠軽町、湧別町、佐呂間町)、③岩宇地域(共和町、岩内町、泊村、神恵内村)の3地域を選定、現状分析や各種データの整理のほか、荷主、物流事業者、地元経済団体、有識者へのヒアリングなどを行った。

公的施設を物流拠点として利用する場合に求められる条件、施設の利用状況や地域内での賦存量を考慮した結果、「道の駅」「廃校(体育館)」などに利用可能性があるとし、それぞれの地域で利用可能性のある施設をピックアップした。

物流効率化に向けた公的施設の具体的な利用手法と課題をまとめ、①名寄地域では「道の駅をストックポイントとした地域内物流拠点の形成」、②遠軽地域では「廃校の体育館等公的施設を活用したバックヤード機能の創出」、③岩宇地域では「岩内町をハブとして荷物を集積し、万が一営業倉庫がすべて撤退した場合を想定し、冷凍コンテナやコールド・ロール・ボックスを漁港などの公的施設に集積」がそれぞれ有効とした。

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