北海道交通・物流連携会議(座長・吉見宏北海道大学大学院経済学研究院教授)では、物流対策ワーキンググループ(座長・岸邦宏北海道大学大学院工学研究院准教授)で調査・検討を進めてきた「北海道における安定的かつ効率的な物流体制の確保に関する検討」の中間報告案を示した。
「トラックドライバーの時間外労働の上限規制適用による運転可能時間の短縮」と「トラックドライバー不足による輸送能力低下」による影響を検証し、その影響に対するトラック輸送効率化の方策をとりまとめたもの。
「時間外労働の上限規制適用」による影響では、「片道4時間以上を要する市町村間の輸送に影響が生じる」とし、対象となるエリア間の貨物量を集計、影響の大きい地域間貨物量を既存統計データ等を基に独自に推計した。結果、影響を受ける貨物量は「北見から室蘭(苫小牧)」、「釧路と室蘭(苫小牧)間」、「北見から札幌」、「札幌と釧路間」が多いと示した。
「ドライバー不足による輸送能力低下」では、「札幌と室蘭(苫小牧間」の輸送への影響が大きいと示した。
これにより、「トラック輸送効率化に向けた方策の検討対象区域」を①「北見から室蘭(苫小牧)」、②「釧路と室蘭(苫小牧)間」、③「北見から札幌」、④「札幌と釧路間」、⑤「札幌と室蘭(苫小牧)間」の5区間と設定。この5つの地域間輸送について、重要度の高い主要な輸送品目を、①は「たまねぎ、水産加工品」、②は「水産加工品、水産品、飼料・肥料」、③は「てんさい糖、小麦」、④は「パン・菓子、紙」、⑤は「たまねぎ、米、だいこん、食料工業品、その他日用品等」と選定し、課題に資する対応方策を10種類挙げて、実現性について評価した。
実現性の高い方策を、①「中継輸送の導入」、②「鉄道輸送や道内航路への変更」、③「荷役・待機時間の削減」、④「高規格道路の活用」、⑤フェリー輸送の無人航送化」、⑥「共同輸送」として取りまとめ、今後、同WGにおいて具体的に実行していく方策を検討することを確認した。
同WGの岸座長は「既に事業者が取り組んでいる内容もあり、道庁がまとめるものとしてはまだ中間的。青函共用走行問題の動向も踏まえて、北海道としての物流のあり方を示す次の段階に進みたい。トラック事業者だけではなく、行政・荷主・道民でできることを示していきたい」と述べた。