サッポログループ物流北海道支社の諸岡知尚物流業務部長 大学でメーカー物流について講義

サッポログループ物流(西間木健二社長、東京都渋谷区)の北海道支社(恵庭市)の諸岡知尚物流業務部長は4月22日、北海商科大学で相浦宣徳教授が担当する「物流システム論」で講師となり「サッポロビールを取り巻く物流について」と題して約3時間にわたり講義を行った。ビールに関するサプライチェーンの実態やメーカー物流の特徴、北海道における物流の課題などについて説明した。

諸岡部長は、恵庭市の工場までの原材料や容器の調達、道外で製造された商品の移入、工場で製造された商品の道内全域への配送といったサプライチェーンの流れを説明。同支社では道内で年間約15万㌧の酒類・飲料を配送していると紹介した。

「物流会社は単にモノを運ぶだけでなく、大量の製品を品種毎・製造日付単位で入出庫量・保管数量・出庫後の残高などを管理し、特定の品種・製造日付の製品の所在もトレースしている。調達から配送まで輸送モードを組み合わせた効率的な方法を考え、危機管理を行い、保管・荷役・流通加工・情報管理などを駆使し、送り先や送り主へ利便を提供している。配送条件の改善やパレットの管理、事故削減・安全向上に向けた取り組みを進めるほか、工場から安全衛生・製品管理・酒税申告といった業務も一部委嘱されている」と述べ、「モノを『出す人』と『受け取る人』が存在する限り、物流会社は存在しうる。物流センターはサプライチェーンにおける中核施設である」と強調した。

ビールメーカーの物流について、「国税である酒税がからむ商品を取り扱うことが大きな特徴。メーカー、卸、小売ともそれぞれ免許が必要で、法律に則った商品管理が必須となる。商品を置く場所、届け先が厳密に規定される」とし、また、「壜と樽という専用の通い容器での流通が多く、静脈物流が発達している。往復の荷物が一定程度確保されているが、商品の缶化率が年々高まっているので、帰り荷の確保が課題となっている」と説明した。

さらに、「道央から地方へは1社では荷量が少なく、届け先が同じ場合が多いので、全国に先駆けて北海道で物流の共同化が進んでいる」と述べ、平成12年から宝酒造、同14年から三和酒類、同20年からキリンビール、同29年からビール大手4社とそれぞれ共同物流を展開していると紹介した。

このほか課題として「メーカーは店頭での欠品がないよう製造・出荷するが、需給予測が難しく、必要な量や配置は実際に販売してみなければ分からない。全体最適なサプライチェーンの実現にはハードルが高い」としたほか、パレット化が進んでいるものの、回収に課題があるとし、この理由として「パレットに保証金がない」「どこのメーカーに何枚返すという管理ができていない」ことなどが要因と指摘した。

諸岡部長は最後に、「新たにビール工場を道内に新設する場合、道内の物流網、移出・移入の利便性、受注リードタイムといった条件を考慮し、どの場所が最適か」と問題を投げかけた。

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