室蘭市で「水素の製造・貯蔵・運搬・移送・利用までのサプライチェーンを構築する実証事業」北弘電社ら

北弘電社(脇田智明社長、札幌市中央区)は6月22日、大成建設を代表企業として、室蘭市、九州大学、室蘭工業大学、日本製鋼所、巴商会と共同で、水素の製造・貯蔵・運搬・移送・利用までのサプライチェーンを構築する実証事業を行うと発表した。

この実証事業は環境省が公募した「平成 30 年度地域連携・低炭素水素技術実証事業」に同グループが提案した「建物及び街区における水素利用普及を目指した低圧水素配送システム実証事業」が採択されたもので、今年度から2019 年度まで行う。

同実証事業では、北海道室蘭市が所有する祝津風力発電所で発電した電気を使い、水電解水素製造装置で水素を製造し、車載用コンテナに収納した水素吸蔵合金(MH)タンクに貯蔵。MHを用いることで水素を低圧で大量かつ安全に貯蔵可能にすることにより、建物や街区への水素の普及促進を実証するもの。
水素を充填したMHはコンテナごと運搬車両に搭載し、水素利用場所の温浴施設に運ぶ。温浴施設には定置型のMHタンクと純水素型燃料電池を設置し、車上のMHタンクから水素だけを移送し、燃料電池で発生する電気と温水は温浴施設で使用する。
水素移送時には「熱のカスケード利用」を行い、水素を吸収する側のタンクで発生する熱を、放出する側のタンクの加熱に利用するほか、定置型MHから水素を放出するために必要な熱は、建物からの低温排熱を利用しエネルギーの効率向上を目指す。

各企業等の役割分担は次の通り。
▽大成建設:事業の全体統括、全体基本システム設計、MHによる水素運搬システム評価。
▽室蘭市:実証フィールドの提供、風力発電設備の電力供給。
▽九州大学:実証事業全体のサポート、水素製造所の低コスト化検討、システム全体の性能評価。
▽室蘭工業大学:実証サイトでのMHによる輸送と水素移送時の性能評価と効率向上改善検討。
▽日本製鋼所:車載用および定置式MHタンクの設計・製造。
▽巴商会:水素製造設備の設計施工、水素利用設備の設計施工、実証設備運転管理、水素運搬業務。
▽北弘電社:水素製造所・水素利用場所の電気設計・施工、水素製造所水道設計施工、水素利用場所の熱供給設備設計・施工、実証設備維持管理。

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