セコマの物流 ①

北海道でのコンビニ最大手セコマ(丸谷智保社長、札幌市中央区)。
同グループの卸・物流を手掛けているセイコーフレッシュフーズ(本田竜也社長、同白石区)の堤豪気専務が同グループの物流体制や特徴的について説明する。全3回の1回目。

 
▼グループ概要について

セコマグループは27社で構成され、売上高は約2000億円。セイコーマートをはじめとした小売3チェーンのほか、農業法人、水産物の買い付けから加工、食品製造、システム開発、海外現地法人もある。原材料や商品などを運ぶ冷蔵冷凍常温フルラインの卸・物流を当社が担っている。
店舗は道内175市町村に1151店を出し、人口カバー率は99.8%。道内では、主要な物流センター6カ所、毎日約240台のトラックが稼働し、1日の総走行距離は約7万㎞に及ぶ。
「生産、製造、物流、小売といったサプライチェーンを全て自前で行う」「可能な限り無駄なコストをかけず、その結果として、いい商品をなるべく安く提供しよう」というのが当グループの基本的な考え方だ。
 
▼納品の回数と時間について

店舗への納品回数は、ナショナルチェーンなら全て一律というのが一般的だが、当グループでは店舗によって頻度を変えている。遠方の店舗には1日1回、センターの近くなら3回など、物流の効率やコストを考えて回数を設定している。配送頻度の少ない店舗には、ドライバーにとっては体力的に厳しいが300kg積載できる大型のカゴ台車を使用し、積載率の向上と納品にかかる時間削減をはかっている。
その代わり、納品時間の制約を設けていない。コンビニでは、1台のトラックで店舗納品をする場合、「最初と最後の店舗の間で何時間」などという時間のしばりがあることが多いが、当グループでは店舗ごとの納品回数自体が違うので、こういった制約がない。
店舗の立場では、商品を販売する機会が長くなるため早い納品が望ましく、チェーン本部は店舗間の平等性のために一律の運用をしがちとなる。しかし、配送面から見ると、このようなやり方では積載率、トラックの運行台数、走行距離など、必ずしも最適ではない場合もある。一見、店舗にとって平等であることが、実は影でコストがかかっている場合もある。
納品時間も一般的なコンビニ配送では、店着時間が厳密に設定され、「10分早くても、遅くてもダメ」ということもある。ペナルティを回避するために余裕を持って納品時間を設定し、納品する店舗の手前で待機しているコンビニ配送トラックを見ることもある。
しかし、北海道は吹雪になれば、高速道路の通行止めや渋滞発生が普通なので、厳密な納品時間を最優先することは厳しい。厳密な納品時間ばかりを優先すると、「トラックはピッタリ時間通りに来てもらわなければ困る」という理屈になり、そのために、1つのルートで8店舗回れるところを、時間的な余裕を見たために6店舗しか回れないという事態も起きうる。
その分、トラックやドライバーを余分に抱え、物流コストも割高になってしまう。そのコストは誰が負担しているかというと、商品価格への転嫁など、結局は店舗や消費者が無駄なコストを負担していることにもつながりかねない。
当グループでは、納品に時間的な余裕を設けず、「時間ピタピタ」でルート決めている。その代わり店舗には、「道路事情によって遅れることもあれば、早く着くこともある」と案内している。

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