サッポログループ物流北海道支社 北海商科大学で講義 メーカー物流・ビール物流を説明

北海商科大学で物流を教える相浦宣徳教授は、道内の物流に関連する行政担当者・事業者を呼んだ講義を積極的に開いている。11月25日の「物流システム論」では、サッポログループ物流北海道支社(恵庭市)の諸岡知尚物流業務部長を講師に招き、講義を行った。
諸岡部長は「サッポロビールとサプライチェーンマネジメントの課題について」と題し、メーカー物流(物流子会社)・ビール物流の特徴について講義した。
 
物流子会社について「我々はメーカーから商品を預かり、それを最適な方法で協力会社に届けてもらう判断を行なっている。いわばメーカーの1部であり、容器の調達や親会社からの出向受入なども行う。グループの物流全般の管理や合理化を進め、親会社に対して安価で高品質なサービスを提供している。外販獲得によるグループへの収益貢献も行なうが、主要荷主に向けた営業を必要としていないもの特徴」と述べ、商品の受注から保管・流通加工・配送手配などの工程を説明した。

ビール物流について「酒税法に則った物流という点が最大の特徴。酒税は国税のため、製造、販売媒介業、卸売業、小売業とサプライチェーンの各段階でそれぞれ免許が必要であり、商品を蔵置する場所や、届け先が厳格に規定されている。国産酒類は製造場から移出した際に納税義務が発生し、これは種類・品目によって異なる税率が課され、移出数量に応じて課税される。当支社ではこの酒税の申告業務も請け負っている」と説明。「酒税法という制限があるが、逆の見方をすれば、『誰でも扱える』『何処へでも運べる』というものではないため、酒税法に守られている物流とも言える」と述べた。

また、今後の道内物流の課題について、「札幌圏での配送の集中」や「遠隔地への配送の対応」を挙げ、「配送の7割以上が札幌を中心とした道央圏。2024年問題によりドライバーの労働時間が規制され、広い北海道では遠方への配送が厳しくなる。また、コロナの影響で受注がより小ロット化し、今後、特に道北や道南への配送が課題になる」と指摘した。

このほか、商品を品切れさせず、在庫水準を適正に保つよう生産・発注・物流をコントロールする難しさについて述べ、「需給予測は簡単ではなく、『必要な時に、必要な量を、必要な場所に届ける』ということは、販売しなければわからない側面がある。サプライチェーン上の各主体はそれぞれの思惑でこれらを予測・判断するが、全体最適となっているのか難しい」と語った。

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