北海道でのコンビニ最大手セコマ(丸谷智保社長、札幌市中央区)。
同グループの卸・物流を手掛けているセイコーフレッシュフーズ(本田竜也社長、同白石区)の堤豪気専務が同グループの物流体制や特徴的について説明する。全3回の2回目。
▼荷主としての意識について
セコマグループ内に製造、物流、小売など色々な機能が集まっており、そこには上下関係は一切ない。「運ぶ」「センター業務」「製造」「販売」、全てがフラットな関係。「どこが偉い」「上とか下」ということはなく、「役割が違うだけ」とよく言っている。
そのため、物流でも「荷主として、運送会社があたかも下にある」という見方は間違い。運送会社が運んでくれなければ、そもそもセコマのビジネスが成り立たない。社内で禁止しているわけではないが、「荷主」「元請け」という言葉はまず使わない。「荷主という意識」もないかもしれない。社内で運送会社に対して使うのは「協力会社」という言葉と「具体的な社名」だけ。
▼運賃について
運賃には色々な決め方がある。卸や3PLなどでは「出荷金額の何%」というところが多く、このほかにも「ケース単位」「月単位のチャーター」「時間単位」など契約形態が様々。10年以上前、当社では配送にかかる運賃は「1か月1ケースでいくら」という設定だったが、これでは「どこにどれくらいコストがかかっているのか」が見えず、儲かっているのかどうかがわからなかった。
この問題を解消するため、協力会社と相談して、コストの見える化に取り組んだ。
出発・納品時間、走行ルートなどを決めたルート表が現在80ほどあるが、ルートごとに1日の拘束時間、車両費、修理費、基本給・法定福利・賞与などの人件費を出すほか、燃料費は毎月かかった分を請求してもらっている。「売り上げの何%」「1カ月チャーター」などの運賃設定では、燃油の価格がこれだけ上下する状況なので十分にコストを把握できない。当社では燃料費は「燃料の単価」と「車両の平均燃費」「ルート走行距離」を掛け合わせて算出し、実費としてかかった金額を支払っている。協力会社にはこのほか、一定の粗利、管理費、募集費、教育費など諸々かかっている分を別途計算して支払っている。こういう取り決めを10年ほど前に決めた。
▼運送会社との利害背反の解消
私たちと運送会社の利害は、実は一致しないという見方ができる。物流コストが毎年、億単位で高騰しているので、本音をいうと協力会社には「もうちょっと安くなりませんか」と言いたい。当社としては当然、物流コストは低いほうがいい。一方、運送会社は「運賃・料金はもらえるだけもらいたい」というのが本音。そうすると利害が相反する。
この関係性を前提として、どうしたらいいかを協力会社と相談し、「実際にかかる実経費」と「それ以外の部分」を分けることを考えた。「実経費」は、協力会社にとって「入ってきて、そのまま出て行くお金」なので、そこでサヤは稼がないようにしてもらい、その代わり「会社を維持するために必要な分」は固定的に支払うことにした。
そうすると何が起きたかというと、「実経費は、お互い協力して下げる努力ができる」ようになった。実際にかかる経費を明らかにすると、そこの部分を「お互い頑張って効率化しよう」「無駄を省いていこう」ということができるようになった。
これはセンター業務を委託している協力会社にも同じ方式を採用している。数百人いるパート従業員1人ごとの時給を登録し、働いた時間をタイムカードで管理し、法定福利、通勤費などはかかった分だけ支払っている。それとは別に、社員の人件費、募集費、教育費、会社の利益などを月額固定で支払っている。
一般的にセンターでの庫内作業の委託費用は「売上の何%」というところが多い。あるセンター運営を受託している3PLでは「毎年、一方的に値下げを強要されている」と言っていたが、この場合、荷主は「コストが見えない中で値下げを要求している」かもしれない。