工藤商事 大学で「職業と人生」講義

工藤商事(夕張郡栗山町)の工藤英人社長は12月16日、札幌学院大学新さっぽろキャンパスで、同大学の1年生に向けて、キャリア科目「職業と人生」の特別講師として講義を行った。学生時代の思い出や職業選択の理由、仕事のやりがい、学生時代に何をすべきか、といったことを1時間にわたって語った。

工藤社長は「大学には何の志もなく進学し、部活とバイトに明け暮れた。30歳で親が創業した運送会社の社長に就いたが、経営者として未熟だったため37歳で倒産させた。仕事と社員を違う会社に引き継ぎ、自分は借金を抱え、自己破産した」と振り返り、「社会人としての肩書きがなくなり、人生で初めて無職になった」と自身の人生を赤裸々に告白した。

その後、安定したサラリーマン生活を送るが、再び運送会社の経営者として再起することを選択、「これが人生の岐路だった」と強調。「なけなしの資金で中古のトラクターヘッドを買い、年間16万㌔㍍運行し『死ぬほど走った』。自己破産者なのでローンも組めず、スクラップ屋から捨てるようなトラックを現金で買う状態だった」とし、従業員にも厳しい労働環境を強いていたため事故が多発し、「保険の更新ができないような状態に陥った」と打ち明けた。

資金繰りに明け暮れ、厳しい経営状況から抜け出せない中、「頑張ってくれているドライバーがいるからこの会社がある。倒産した時の気持ちを思い出した」とし、その後、経営理念を定め、高品質で安定的な物流サービスを提供する企業となるべく、方向性を明確にしたと説明。

工藤社長は学生に向かって、「自分自身を投資先と考えて学生時代に強みを磨いてほしい。挫折は人を強くする。内面の強さを磨いて、失敗を恐れず、チャレンジしてほしい」と訴えた。また、「就職は結婚と似ており、外見ではなく、似たような価値観、同じ夢に向かう気持ちがあれば長続きする」と語った。

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