大樹町(酒森正人町長)とSPACE COTAN(小田切義憲社長、広尾郡)は9月8日、大樹町で商業宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」の人工衛星用ロケット発射場「Launch Complex-1(LC-1)」と、滑走路延伸整備に向けた安全祈願祭と着工セレモニーを同7日に開催したと発表。
HOSPOは、国内外の民間企業等を対象としたロケット発射場やスペースプレーンの発射場・実験場を整備し、航空宇宙産業のインフラとして打上げ支援を行っている。今回新たにLC-1建設と滑走路300m延伸を行い、宇宙港設備を充実させる。
LC-1は現在稼働しているロケット発射場「Launch Complex-0(LC-0)」の隣の敷地約2万6800㎡に建設、ロケットの組立棟や、燃料等の供給プラント等を備え、2023年度内に完成の予定。滑走路の延伸も2024年度に完了し、サブオービタルスペースプレーンのほか、空飛ぶ車やドローンなどの次世代エアモビリティの実験等に活用する。
今後、アジアにおけるハブ宇宙港を目指し、国内外から多くのロケット打上げ事業者を受け入れるため、2025年度には高頻度の打上げに対応するための発射場「Launch Complex-2(LC-2)」の整備を計画している。
また、LC-2以降も継続的な発射場整備や、P2P輸送(高速2地点間輸送)用の3000m滑走路新設により、垂直型・水平型・気球等に対応した複合型宇宙港へと機能を発展させたい考え。
酒森町長は「HOSPOを核とした宇宙版シリコンバレー形成という趣旨に賛同いただいた国、関係機関、企業の多大なるご支援の下、新たなロケット発射場と滑走路延伸の安全祈願祭、着工セレモニーを迎えることができた。ロケット発射場を核に、約40年続けてきた大樹町の宇宙のまちづくりをより一層進展させ、宇宙による地方創生を進めていく」とコメント。
SPACE COTANの小田切社長は「2023年度中には大樹町で小型人工衛星の打上げが始まり、HOSPOは、本格的な宇宙港として新たな一歩を踏み出す。今後、国内外のロケット打上げ事業者を誘致し、宇宙関連産業の集積を図り北海道の活性化を進めていく」とコメント。
世界の宇宙市場は年々拡大しており、2040年には今の3倍近い110兆円を超える巨大市場に成長すると予測されている。人工衛星をはじめモノや人を宇宙に運ぶためのロケットやスペースプレーン等の需要が高まっているものの、それらを打上げるための専用設備が整った宇宙港(スペースポート)が足りておらず、宇宙産業成長のボトルネックとなっている。
日本はロケットを打上げる東、南に太平洋が広がり、飛翔経路に人家や他国がないため宇宙港の整備に適しており、なかでも大樹町は、広大な土地があり宇宙港の拡張性が高いこと、空路や海路が混み合っていないこと、晴天率が高く良好な気象条件やアクセスの良さなど世界的にもトップクラスの宇宙港に適した土地。約40年前から宇宙産業誘致を進め、国内の内之浦・種子島につぐ第3のロケット発射場としての実績を持っている。
LC-1と滑走路延伸の費用は総額23億2000万円。半分の11億6000万円は、2022年3月に採択された内閣府の地方創生拠点整備交付金、残りの半分は企業版ふるさと納税制度による寄附金を充てる。