「青果物流通におけるDX導入推進協議会」設立 エア・ウォーターなど

エア・ウォーター(松林良祐社長、大阪市中央区)は11月16日、グループ企業の北海道エア・ウォーター・アグリ、エア・ウォーター物流ならびに、ベジテック、デリカフーズと「青果物流通におけるDX導入推進協議会」を設立し、青果物流通におけるDX導入を推進すると発表した。

11月から2024年3月まで、青果物流通におけるDX導入の推進による効率化、トレーサビリティの実現による付加価値向上を目的とする効果検証を開始する。具体的には、玉ねぎ、ジャガイモ、カボチャなどを対象として、旭川市、千歳市、東京都足立区、川崎市において、RFID関連設備を導入し、効果検証、結果とりまとめを行う。

同協議会では、食品等流通合理化計画を申請し、このたび農水省に認定。同検証は、2月に発表したエア・ウォーターとベジテックとの資本業務提携ならびに、デリカフーズホールディングスの第三者割当増資引受に伴う3社協業の一環として取り組むもの。生産者と消費者の視点に立った農業の成長産業化への貢献を目指す3社が連携することで、生産者や物流、卸売、小売など多くの流通関係者が関わる青果物サプライチェーンでの検証が可能となる。

青果物流通業界においては、人手不足が深刻になる中、データ入力などの作業負担を軽減するとともに、「物流2024年問題」への対応として、ドライバーが行う納品や検品などにかかる時間の削減等が課題だった。また、新たな情報システム導入における初期コスト負担の大きさから、他の業界と比較してデジタル化が遅れ、作業効率化への対応が課題となっているほか、青果物のサプライチェーンには、生産者や物流、卸売、小売など多くの流通関係者が関わっているため、全体最適化を図るには情報システムの標準化など様々な課題があった。加えて、万が一食中毒などの事故が発生した際の原因究明には、多段階の流通経路・事業者を辿って確認する必要があり、多くの時間を要することから、その間に被害が発生・拡大してしまう恐れがあった。

同検証では現在、紙やExcelデータを用いた手作業で行われている産地や各入出荷拠点での検品やデータ作成業務について、産地で出荷用の段ボール箱や鉄コンテナに日時、場所、品目などが記録されたRFIDタグを取り付け、その後の各入出荷拠点においてもRFIDを活用することで、これまで手作業で行っていたデータ入力作業の大幅な効率化、省人化を図っていく。
また、サプライチェーンのトレーサビリティを可能とし、迅速に出荷量、生産地などの情報を消費者に対して開示できる環境を整備するとともに、万一の事故品発生時にも迅速な回収、原因究明や改善につなげることで、消費者の不安や健康被害の拡大を抑制していく。

青果物の産地である旭川市で北海道エア・ウォーター・アグリが青果物の出荷データ(ロット番号、出荷日時、場所、品目等)をRFIDタグに書き込むとともに、これらの情報を専用共有クラウドに保管し、RFIDタグを出荷物(段ボールや鉄コンテナ)へ貼り付け、首都圏に向けて輸送する。また一部の青果物は、千歳市にあるエア・ウォーター物流の集出荷拠点を経由し、新たな青果物を追加で積み込み、首都圏に配送されるが、この集出荷拠点においても入出荷時にRFIDタグを読み込み、集出荷データを専用共有クラウドに保管する。

最終的には、川崎市にあるベジテック、東京都足立区にあるデリカフーズの集出荷拠点で同様の処理を行い、青果物の集出荷などのデータの連携を図る。

これらデータ連携によって入出荷などのデータ活用が可能となり、これまで各集出荷拠点において手作業で行っていた検品作業もRFIDハンディリーダーによる情報読み取りといった検品処理の効率化が見込まれており、最終的には、作業時間削減による30%以上の経費削減を目標に取り組んでいくとしている。また、トレーサビリティが確保されることにより、万が一の商品回収時の回収作業(事故品の特定と出荷停止、回収)にかかる時間も30%以上削減を目標とするとしている。

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