ヤマト フレイター公開 来年度4月運航 幹線輸送多様化へ

ヤマトグループと JAL グループは12月8日、ヤマトグループが来年度から導入するエアバスA321-200P2F型機貨物専用機(フレイター)を新千歳空港で公開、事業の説明と駐機スポットでの機体撮影会を開催した。
同型機のフレイターは日本に初めて導入されたもの。座席を外し、カーゴドアを取り付けるなどして旅客機を改修、来年4月 11 日からJALグループのLCC(格安航空会社)スプリング・ジャパンにて運航する。11月から初号機のプルービングフライト(運航乗務員の訓練や機材整備、オペレーション等のための慣熟飛行)を開始しており、現在、商業運航に向けて準備を進めている。

ヤマトグループはフレイター3機を導入し、安定的な輸送力の確保と持続的な物流ネットワークの構築を目指す。最大搭載重量は28㌧で大型車5〜6台分に相当。上部貨物室に14コンテナ、下部貨物室に10コンテナが搭載できる。パレットの搭載も可能で、宅配便だけではなく、小口から大型貨物までの企業物流にも対応する。
運航は「東京―北九州」「東京―札幌(新千歳)」「東京(田)―沖縄(那覇)」「沖縄―北九州」の4路線。運航開始時は1日9便で夏頃には13便にまで拡大、最終的には21便体制にする予定。 

新千歳空港に着陸したフレイターの便名は「IJ9625(クロネコ)」。駐機スポットに停止した後、パイロットがタラップを降り、ヤマト・JALグループ管理者らと握手、記念撮影を行った。

ヤマト運輸執行役員貨物航空輸送オペレーション設計担当の鈴木達也氏は「現在、ネットワークの再構築に取り組んでおり、ニーズに答える最適な輸送サービスを展開していく。フレイターは時間と距離を短縮する。成田とも結んでおり、世界中にスピード感を持って輸送できる。地域ビジネスを支援していきたい」と述べた。

JAL執行役員北海道支社長の林浩一氏は「フレイターによる輸送手段の多角化により、ヤマトグループとともに持続可能な輸送体制を構築し、トラック輸送の2024年問題の課題解決をリードしたい。つながりを創出することを通して、地域の発展に寄与したい」と述べた。

スプリング・ジャパンの米澤章社長は「LCCが日本で貨物機を運行するのは初めて、当社でも貨物機の運航は全く初めて。ピカピカの機体でワクワクドキドキしている。責任を持って運航し、安全安心なフライトを提供していく」と語った。

ヤマト運輸貨物航空輸送オペレーション設計部シニアマネージャーの下簗亮一氏はフレイター導入の理由について、「幹線輸送を多様化していく一環としての施策。また、荷物が小型化し、飛行機に適したものが増えているほか、空港の滑走路が増え、発着枠が広がるなど、航空輸送を取り巻く環境が整ってきた。費用が高く他の輸送モードからのシフトが進まなかったが、貨物のニーズがある路線に飛ばせる環境が整ってきた」と説明。
トラックと比較して「まだ1・5倍くらい費用がかかるが、スピードや新たなサービスの創出、また、トラックの幹線輸送のコストが今後上がってくることを考えると、有効な手段だと捉えている」と述べた。
将来的には「宅配便というベースカーゴがあることが強みであり、フレイターのスペースを他の荷主や物流企業に積極的に外販を行なっていく。北海道は広大なため、道内間の運航などの可能性も探っていきたい」と話した。

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