北海道物流開発 MMV本格運用開始 地方サプライチェーンのモデル提案

北海道物流開発(斉藤博之会長、札幌市西区)は4月4日より、北海道経済センタービルで次世代型高機能自動販売機「マルチ・モジュール・ベンダー(MMV)」による商品販売の本格運用を開始した。
設置は5月末までの予定で、この間「北海道のとりわけ地方部における新たなサプライチェーン・商品供給モデル」のショールームとしてMMVの活用を提案する。
 
MMVは、サンデン・リテールシステムの製品で、北海道物流開発が導入し、仕入れた商品を販売する。
2月28日から丸美珈琲店のコーヒーをプレ販売していたが、これに服部醸造、山加製粉、ベジハート、わらく堂の道内食品メーカー4社からセレクトした8品目を追加し、本格販売をスタート。
在庫は北海道物流開発の本社などに保管、補充の際は都度、同社から運び込む。

同社は昨年11 月、道内最大級のビジネス展示会で「MMVの活用による地方部における商品供給のビジネスモデル」を紹介。これに同センターの関係者が関心を持ち、設置場所・ランニングコストとも無償で提供してもらった。

新規事業開発部の佐藤忠部長は「販売状況はリアルタイムにスマホなどで確認できるため、ルート配送による商品補充ではなく、必要なタイミングで必要な量だけを補充し、無駄な配送がなくなる」と話す。

ただ、同社では、「自販機事業での収益を追う」のではなく、IoT化された自販機を活用したサプライチェーンのモデルを提案するための「ショールーム」として運用する考え。
 
同センターは、北海道商工会議所連合会や札幌商工会議所をはじめ、道内の経済団体、業界団体、公的機関、金融機関などが多く入居し、企業の経営者や幹部が日々多く出入りする。また、MMVを設置したフロアは、300人規模のセミナールームが2カ所あり、ビジネスに関する様々なセミナーが連日開催される。
ここにショールームを置くことで、企業の決裁者や道内広くネットワークを持つ経済・業界団体の職員が活用し、MMVの存在を知ることになる。
 
佐藤部長は「この場所で自販機としての売上・利益を追求するつもりは一切ない」と断言。「北海道では人口減少・過疎化が進む地方部の物流維持が喫緊の課題だが、MMV活用により、効率的な物流でこういった地域まで商品を供給することができる。店舗がないエリアでも特産品の販売ができ、地方活性化にもつながる」と説明。あわせて、「経営者が多く出入りするので、自社における『物流の生産性』『効率的なサプライチェーン』を考えてもらうきっかけにも繋がって欲しい」としている。

サンデン・リテールシステム北海道支店の饗庭久弥支店長は「MMVは現状、大学や食品メーカーの店舗、空港、コンビニなどに導入されているが、物流企業が運用するのは道内初、全国的にも非常に珍しいケース。MMVをネットワーク化し、商品補充を行っていく際に大きなネックとなるのが温度管理を伴う効率的な物流だが、物流企業が運用を手がけることで、このハードルが下がる。MMVの一層の普及に繋がる可能性がある」としている。

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